ワクリノ特集
オフィスレイアウトを決める基本的な考え方
オフィスレイアウトは、働く環境の効率性や従業員の快適さに大きく影響する要素です。
しかし、何を基準にどのようにレイアウトを決めればよいのか、迷うことも多いのではないでしょうか。
この記事では、オフィスレイアウトを効果的に決定するための基本的な考え方について、年間500件以上のオフィスのお悩み解決実績を持つWAKURINO(ワクリノ)が詳しく解説します。
目次
従業員全員からオフィスの不満や要望などを吸い上げる
従業員は日々オフィス内で働いており、快適さや業務の進めやすさに関して多くの不満や要望を持っているはずです。
そのため、レイアウト変更やリフォームを計画する際には、従業員から不満や要望をヒアリングすることが何より重要です。
不満・要望を集めることができれば、改善すべきポイントや現状の課題を正確に把握し、実際の業務フローに合ったレイアウト設計を進めることができます。
アンケートを実施したり、直接ヒアリングを行うことで、個々の従業員の意見を吸い上げることが可能です。
従業員が積極的に意見を述べ、自分がレイアウト変更に関わったと意識してもらうことで、オフィス改善という一つの目的に向かって全員が取り組むという、一体感の醸成にもつながります。
さらに、その改善が業務効率の向上や従業員満足度の向上に直結する可能性もあるのです。
オフィスのコンセプト(方向性)を決める
コンセプトによって、オフィスのレイアウトは左右されます。
企業の業種やビジネスの方向性に応じて、最も効果的なオフィスレイアウトは異なるのです。
内勤者が多いオフィス
内勤者が多いオフィスでは、主に業務スペースや気軽に使えるミーティングスペースを充実させるオフィスレイアウトを心がけましょう。
たとえば、集中して作業ができるように各デスクが適度なプライバシーを確保できるレイアウトにしたり、短時間のコミュニケーションやブレインストーミングがしやすい小規模な会議スペースを設置することが前提のレイアウトにするのがおすすめです。
外勤者が多いオフィス
外勤者が多い場合、社内に全員が常駐する時間が少ないため、固定デスクを割り当てる必要はありません。
フリーアドレスを導入し、従業員が自由に働く場所を選べるオフィスレイアウトにしましょう。
また、外勤者が帰社した際に自然と従業員同士でコミュニケーションが取れるよう、リラックススペースやコミュニケーションスペースの設置も有効です。
来客の多いオフィス
来客が頻繁にあるオフィスでは、会議室や応接室、セミナールームの確保が欠かせません。
特にクライアントとの商談や打ち合わせが多い場合、来客が快適に過ごせる空間を整えましょう。
来客の動線を考慮したレイアウトにすることで、スムーズな対応が可能になります。
会議室の大きさや配置を工夫し、必要に応じてセミナーやイベントにも対応できるような設計を行うなども効果的です。
オフィスに必要なスペースの種類を決める
オフィスのコンセプトが決まったら、次に必要となるスペースの種類をリストアップしましょう。
一般的にオフィスには、以下のようなスペースが必要です。
- 業務スペース
- 会議室・ミーティングスペース
- リラックススペース
- 共有機器スペース(コピー機など)
- 収納スペース
しかし、各企業の業務内容や働き方に応じて、必要なスペースの割合や配置は異なります。
たとえば、クリエイティブな仕事が多い企業では、リラックスできるスペースやミーティングスペースを充実させることで、自由な発想を促せます。
一方で、静かな環境で集中して作業することが必要な場合は、個別デスクやプライベートな作業エリアを増やすことが効果的です。
オフィス内での業務フローやコミュニケーションの流れをスムーズにするためにも、必要なスペースの配置をしっかりと検討しましょう。
スペースごとの面積配分を決める
必要なスペースが決まったら、次に各スペースの面積配分を決めましょう。
業務スペースを中心に考える場合、従業員一人ひとりが快適に作業できるスペースを確保することが基本です。
一般的なオフィスにおけるスペース配分は、以下の表の通りです。
区域 | 割り当て面積(%) |
ワークスペース | 55 |
管理職スペース | 8 |
共有スペース | 14 |
設備・データ管理スペース | 10 |
リラクゼーションエリア | 7 |
保管・収納スペース | 4 |
移動経路 | 2 |
上記スペース配分はあくまで一例です。
デスクの配置や座席の間隔など、より広々とした空間を確保することで、従業員の集中力や業務効率を高めるといった工夫も可能です。
一方で、会議室やミーティングスペース、リラックスエリアなどの面積は、業務の特性やチームのニーズに応じて適切に調整する必要があります。
週に数回程度しか利用しない会議室に、多くの面積を割くことは効率的ではありません。
このように利用頻度や業務効率に基づいた面積配分を行い、限られたオフィススペースを最大限に活用していきましょう。
ゾーニングを考える
ゾーニングとは、オフィス内の異なる機能を持つエリアを明確に区分けすることです。
集中して業務に取り組むスペースと、リラックスしてコミュニケーションを取るスペースを明確に分けることで、利用者の心理的な負担を軽減し、効率的な空間利用を促進することができます。
視覚的な工夫も、ゾーニングの効果を高めるポイントです。
床材や壁の色を変えるだけで、エリアごとの雰囲気を作り出すことができます。
静かで集中力が必要なスペースには落ち着いた色を使用し、リラックスエリアには明るく開放的なデザインを取り入れることで、従業員が自然とそのエリアに合った行動を取るよう促すことが可能です。
図面への落とし込み
ゾーニングが決まったら、次にそれを図面に落とし込む作業が必要です。
具体的なレイアウトを図面上に表現することで、各スペースの配置や動線を視覚的に確認できます。
この段階では、ゾーニングで決定したスペースの区分けや面積配分を反映させながら、実際の空間の使い勝手をイメージしやすくすることが大切です。
また、図面には家具や設備の配置も細かく記載することで、作業がスムーズに進行します。
特にデスクや棚の配置、電源やネットワークの配線が業務に支障をきたさないよう、十分なスペースを確保して設計しましょう。
業務スペース・動線が確保できているかを確認
図面に落とし込んだ後は、業務スペースの配置や従業員の動線が効率的に確保されているかを確認しましょう。
オフィスレイアウトの最大の目的は、作業効率を高めることです。
そのためには、一般的に従業員一人ひとりに必要なスペースである3坪~4坪(約10m2〜約13m2)を十分に確保しつつ、業務に必要なエリアへの移動がスムーズに行えるようにする必要があります。
動線を確認する際には、以下のポイントを意識しましょう。
・デスク間のスペース:従業員同士が動きやすく、隣のデスクにぶつかることなく作業ができるスペースが確保されているか確認。狭すぎると窮屈で作業効率が低下する可能性がでてくる。
・会議室やリラックススペースへの簡易なアクセス:会議や休憩のたびに長時間歩き回ることがないよう、適切な距離感で配置。特に、頻繁に使うエリアは近い場所に設ける。
・緊急時の動線確保:火災や地震などの非常時のために、迅速かつ安全に避難できる動線を確保。特に出口や非常口への動線が遮られていないかを定期的に確認。
効率的な動線が整備されていれば、業務の進行がスムーズになり、従業員のストレスを軽減できます。
法令遵守を確認
オフィスのレイアウトを変更する際は、以下のように建築基準法や労働基準法などの法令に基づいた設計を行うことが不可欠です。
建築基準法による規制
規制項目 | 規制内容 | 適用範囲 | 詳細事項 |
通路幅の確保 | 廊下の片側に部屋がある場合は120cm以上、両側に部屋がある場合は160cm以上の通路幅を確保する必要がある | オフィス内の通路全般 | 人が安全に移動できる幅を確保する |
防災設備の配置 | 大規模オフィスでは防火壁、防火シャッター、耐火建材などを設置する必要がある | 大規模オフィスや高層ビル | 防火設備や耐火性のある建材の使用 |
消防法による規制
規制項目 | 規制内容 | 適用範囲 | 詳細事項 |
パーティションの設置制限 | パーティションで空間を区切る場合、個室とみなされ、煙感知器やスプリンクラー、非常灯の設置が必要 | 個室に変わる可能性のある場所 | 感知器や避難設備の設置義務 |
避難経路の確保 | 火災時に迅速な避難ができるよう、各階に非常口を設置し、避難通路に障害物を置かない | オフィス全般 | 通路に障害物を置かないこと |
火災時のアクセス確保 | 消防隊が迅速に進入できるように、窓や出入り口の周囲に障害物を設置しない | 窓や出入り口周辺 | 消防隊の進入を妨げない配置 |
労働安全衛生法による規制
規制項目 | 規制内容 | 適用範囲 | 詳細事項 |
1人あたりの作業空間の確保 | 労働者1人あたり10立方メートル以上の作業空間を確保する必要がある | 全作業エリア | 1人あたり約3.7平方メートル以上の床面積確保が推奨 |
照明の照度基準 | 精密作業は300ルクス以上、一般作業は150ルクス以上、粗作業は70ルクス以上の照明を確保 | 全作業エリア | 作業内容に応じた照明の確保 |
定期的な照明の点検 | 照明設備は6か月ごとに点検し、適切に管理する義務がある | 照明設備全般 | 定期点検とメンテナンス |
空気環境の維持 | 換気や空気清浄を行い、作業環境を清潔に保つ義務がある | 室内環境全般 | 換気設備や空調の管理義務 |
各法令の意義を確かめて設計する
オフィスの広さや避難経路の確保、照明の設置基準など、従業員が安心して働ける環境を維持するためには、法令遵守が重要なポイントとなります。
まず確認すべきは、労働環境の基準です。
デスクスペースの広さに関する基準や、換気設備の設置義務、照明の適切な明るさなどは、従業員の健康や快適さに直結します。
また、避難経路の確保も重要です。特に多くの従業員が働く大規模オフィスでは、非常口や避難経路が十分に機能しなければなりません。
こうした法令を無視してしまうと、後々大きなトラブルを招く可能性があります。
設計段階でしっかりと専門家と相談し、法令を遵守した設計を行いましょう。
特に、建築基準法に基づいた天井高や通路幅の基準を守ることが、法令遵守と同時に快適な働く環境を作る第一歩です。
オフィスレイアウトは慎重に検討しよう!
適切なレイアウトは、集中力やコミュニケーションを高め、企業の成長にもつながります。
しかし、オフィスレイアウトを決めるには、多くの要素を考慮する必要があります。
従業員の意見を反映させ、動線や法令にも注意しながら、慎重に検討を重ねていくことが、快適で効率的な環境を作る唯一のコツです。
また、レイアウトは一度決めたら終わりではありません。
働き方は日々進化するものです。そのため、定期的にフィードバックを取り入れ、常に最適な環境を維持することが大切です。
新しいアイデアや技術を取り入れながら、オフィス環境を改善し続ける姿勢が、企業の成功を支える大きな要素となるでしょう。
自社に合ったオフィスレイアウトに悩んでいる方や、オフィスのレイアウトを刷新したいと思っている方は、ぜひWAKURINO(ワクリノ)にご相談ください。
「ワクリノ」
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この記事を書いた人
- ワクリノ編集部スタッフ
- 働き方の進化をコンセプトに、オフィス改善のコンセプト設計から、効率的な運用設計、レイアウトプランニングなど、オフィスの新しい”働きやすさ”と“生産性の向上”を創造し提案していきます。