ワクリノ特集
ペーパーレス化は必要?推進するためのポイントとメリット
資料や書籍などの電子化が当たり前になってきました。
昨今の企業では、以前は紙で保存していたものをデジタル化する「ペーパーレス」が推進されています。
しかし
「ペーパーレスって何?」
「ペーパーレスにするメリットはあるの?」
「どうやってペーパーレス化を進めていけばよいの?」
など頭を抱えている方もいるでしょう。
この記事ではペーパーレス化を推し進める理由やメリット・デメリット、企業全体でペーパーレス化を進めるポイントについて詳しくご説明します。
目次
ペーパーレスとは?推進される理由
ペーパーレスとは、紙を少なくすることです。
会社で働いているとあらゆる場面で「紙」を使用します。
メモ帳として使われたり、会議の資料や契約書などの重要な書類にも使用されたりしています。
会社のデスクと聞くと、書類が山積みになった状態を思い浮かべる方もいるのではないでしょうか?
ペーパーレス化は紙で保存していた書類をデジタル化するなどして、紙を使用するシーンを極力減らします。
ここ数年でよく耳にするようになった「ペーパーレス化」ですが、なぜ必要とされているのでしょうか?
ペーパーレス化は社会全体が推し進めているだけでなく、政府も推奨しています。
働き方を考え、より効率よく働ける環境を整えようと2019年に施行された「働き方改革」。
ペーパーレス化はこの具体策の一つに含まれています。
ペーパーレス化を進めると、今までやりとりや管理がたいへんだった書類業務が大幅に効率化されます。
また電子データでやりとりできるため、働く場所を選ばず、多くの方が自分に合った働き方を選択できるのです。
政府はe-文書法や電子帳簿保存法などの改正を行い、ペーパーレス化をさらに推し進めるために法整備を行っています。
電子帳簿保存法の改正について詳しく知りたい方は
→「令和3年の電子帳簿保存法の改正で何が変わる?押さえるべき7つのポイント」をご覧ください。
また2023年(令和5年)10月1日に施行されるインボイス制度は、今後増えると予想される電子取引にも関わります。
インボイス制度については
→「【インボイス制度】変更点や対処方法までわかりやすく解説!」をご覧ください。
ペーパーレス化の7つのメリット
ペーパーレス化にはたくさんのメリットがあります。
どのようなメリットがあるのか、順番にみていきましょう。
業務の効率化が図れる
ペーパーレス化されたデータは、簡単に検索ができます。
今まで紙保存されていた書類は、探すときに多くのステップが必要でした。
たとえば過去の取引に関する書類を探すとなると、どこに保管されていたのか調べなければなりません。
次に保管先に行き、たくさんある書類の中から該当のものを見つけ出します。
書類を見つけたら手続きを行い、自分のデスクに戻って作業に取りかかります。
このように作業効率が非常に悪いです。
ペーパーレス化によって書類が電子データ化されれば、デスク上のパソコンを使って検索するだけで該当の書類を閲覧できます。
作業を中断する時間を最小限にでき、業務の効率化ができます。
多様な働き方に対応できる
書類が電子データ化されれば、場所や時間にとらわれず仕事ができます。
ペーパーレス化をする前は、書類はオフィスに保管されていました。
つまり書類を扱う仕事をするためには、オフィスへ出社しなければなりません。
また保管場所を管理している部署があれば、職員が手薄となる時間帯に閲覧の手続きがしにくくなるなど制限があります。
しかしペーパーレス化によって電子データ化されれば、どこでも閲覧が可能です。
近年増加しているテレワークにも対応できます。
情報共有が簡単にできる
社内メンバーだけでなく、取引先の会社の方とも簡単に情報共有ができます。
紙ベースでは実際に会って手渡しするか、郵送で送らなければならないなど、手間がかかります。
しかし電子データであれば、メールやクラウドサーバーなどでやり取りが可能です。
クラウドサーバー上なら、リアルタイムでコメントのやり取りができたり、同じ画面を見ながら離れた場所でも作業できたりします。
取引先とのやり取りにかかるロスタイムを最小限にできるでしょう。
また出張先でもネット環境があれば、書類をいつでも確認できる点もメリットです。
省スペース・コスト削減につながる
紙で書類を作成していると、紙代や印刷代・輸送費・廃棄費用などさまざまなコストがかかります。
また保管しておくスペースも必要です。
ペーパーレス化すれば、書類にかかっていたコストを削減できます。
保管スペースも必要なくなるため、別のスペースとしての活用や、もう少しコンパクトなオフィスへの移転も可能です。
テレワークも普及しており、適切な規模のオフィスに移転できれば、賃貸料が削減できます。
全体として大きなコスト削減へとつながるでしょう。
環境保全やSDGsにつながる
紙の使用量を減らせれば、環境保全へとつながります。
紙の原材料は木材です。
世界では毎年多くの森林が伐採され、環境破壊が進んでいます。
ペーパーレス化を進めることは、紙のもととなる森林を守ることになるのです。
近年よく耳にするようになった「SDGs」でもペーパーレスは推奨されています。
SDGsは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことです。
世界が直面するたくさんの課題に対処し、解決するために2015年の国連サミットで定められた国際目標です。
17のゴールと169のターゲットが掲げられています。
ペーパーレスは「8:働きがいも経済成長も」「12:つくる責任 つかう責任」「13:気候変動に具体的な対策を」「15:陸の豊かさも守ろう」に該当します。
SDGsの達成に貢献する活動は、社会責任を果たしている会社だと認知されやすいです。
企業イメージやブランディング効果なども期待できるでしょう。
セキュリティ性を高められる
ペーパーレス化ができれば、電子データへのアクセス制限を設定できます。
またパスワードを設定し、電子データの削除や編集の履歴が残るようなシステムを導入すれば、ファイルの改ざんや盗難を防げます。
紙で保存されていると、担当者や社内の一部の人間しか閲覧できないような書類は鍵が付いている棚に保管されていたり、出入りが管理されている部屋に置かれていたりすることもありました。
しかし持ち出しルールの周知徹底ができないと、情報漏えいにつながるリスクが非常に高くなります。
ペーパーレス化によって、データを守るシステムがしっかり構築できれば、よりセキュリティ性を高められるでしょう。
紛失のリスクを軽減できる
資料を持ち出して紛失したり、火事や洪水などの災害によって書類を失ったりするリスクを軽減できます。
また長期保存における劣化や、物理的な盗難の心配もほとんどないでしょう。
ただしサーバーそのものが壊れてしまうと、電子データすべてを失うリスクはあります。
そのようなリスクをなくすためにバックアップを定期的に取ったり、クラウドサーバーに保存するようにしたりなど、対策は必要です。
ペーパーレスの5つのデメリット
多くのメリットがある一方でデメリットもあります。
どのようなデメリットがあるのか、みていきましょう。
システム導入のコストがかかる
ペーパーレス化するためには、システムを導入しなければなりません。
そのためのコストがかかります。
システム導入にかかる費用は、システムの種類によってばらつきがあります。
しかしどの種類も決して安いものではありません。
まとまった費用が必要です。
導入するシステムを検討する際には、ペーパーレス化のことだけでなく、e-文書法や電子帳簿保存法なども考慮してください。
それぞれの法律の要件を満たせるシステムにしなければ、のちにシステムを再導入しなければならなくなる可能性があります。
どのようなシステムにするのか、十分検討する必要があるでしょう。
またデータを保存するサーバーやデスクトップ・タブレットなど、さまざまな物品も必要になります。
しかし、ペーパーレス化を推し進める社会の流れから、いずれペーパーレス化に対応しなければならないのではないでしょうか?
毎年かかる書類関係の出費や、将来システムを導入する可能性を考えると、必要なコストだと考えられます。
システムやサーバーの不具合時に利用できない
停電や不具合などによってシステムやサーバーがダウンしたとき、利用できなくなる点は大きなデメリットです。
不具合で閲覧できなくなった場合、業務が完全にストップする恐れがあります。
これはペーパーレス化に限らず、デジタル化を進めるうえで大きな懸念材料です。
最悪の場合、不具合によってデータが失われる可能性もあるのです。
さらにシステム障害が与える影響は、社内の人間に限らず、利用しているお客様に及ぶ可能性があります。
社会的信用にもかかわるため、システム障害が起きたときの対策はしっかり行わなければなりません。
無停電装置の設置や、クラウド環境の導入、バックアップの確保、アクセス集中による負荷の回避など対策方法はいくつかあります。
あらゆる事態を想定し、どのような対策を行うべきかシステム導入時に検討しましょう。
契約書の種類によっては電子化できない
すべての書類が電子化できるわけではありません。
一部の書類は法律上、電子化できないものがあります。
次は現時点(2022年)で電子化できないものの例です。
- 任意後見契
- 企業担保権の設定または変更を目的とする契約
- 事業用定期借地契約
- 特定商取引(訪問販売など)の契約などの書面
- 任意で公正証書として作成したい契約書
この中の「特定商取引(訪問販売など)の契約などの書面」は、特定商取引法の改正により、2023年(令和5年)6月から消費者の承諾を条件に電子契約が可能です。
このようにデジタル化に向け、さまざまな法律の見直しが行われています。
今は電子化が認められていない書類も、将来電子化できる可能性があります。
このほかに、電子契約化が可能ですが、事前に承諾してもらわなければならないなど制約があるものも。
適切にペーパーレス化が進められるよう、法対応が必要になるでしょう。
不便な場合がある
紙よりも電子データの方が不便に感じることがあります。
たとえば複数の書類を見比べたいときです。
紙で出力された書類なら、デスクに並べ、該当の部分を見比べられます。
しかし電子データではディスプレイの大きさに制限があるため、複数の書類を画面に並べられないことがあります。
また紙の書類は、見ていたところから視線を移せばすぐ別の場所に目を通せますが、電子データでは難しいこともあるでしょう。
電子データの資料にメモを残したくても残せない場合もあります。
タブレットなどにタッチペンを利用して記入する方法もありますが、記入しにくいと感じる方もいるでしょう。
ITリテラシーが必要とされる
社員の中には、すぐにペーパーレス化に対応できる人もいれば、対応できない人もいます。
ITリテラシーとは、ネットワークやシステム・セキュリティなどITに関することを理解し、操作する能力のことです。
ずっと書面でやり取りをしていた人にとって、突然のデジタル化は新しい業務を一から覚えるのと変わりありません。
ペーパーレス化してすぐは、同じ業務でも紙を使用していたときより作業に時間がかかるかもしれません。
慣れない作業にさまざまなトラブルが発生する可能性もあります。
しかしペーパーレス化の進め方や、導入に関して手厚いサポートをするなど対策をすれば問題なくペーパーレス化ができるでしょう。
徐々に慣れていけば、ペーパーレス化によるデメリットよりもメリットの方を強く感じられるようになるのではないでしょうか。
ペーパーレス化を進めるポイント
ペーパーレス化は会社に大きな変化をもたらします。
スムーズに進めるために、6つのポイントをご説明します。
焦りは禁物です。
しっかり準備をしてペーパーレス化を進めましょう。
ペーパーレス化の必要性を周知する
ペーパーレス化は個人でするものではありません。
社内全体で進めていかなければなりません。
そのため、なぜペーパーレス化が必要なのか社員全体に周知しましょう。
ペーパーレス化の影響をもっとも受けるのは現場のスタッフです。
社員のみなさんがペーパーレス化の必要性を理解していないと、導入がスムーズにできない可能性があります。
ペーパーレス化にともない、どのような変化があるのか理解してもらうためにも、しっかりペーパーレス化の必要性を会社全体で共有してください。
電子化できる書類を洗い出す
どの書類を電子化するのか洗い出す必要があります。 電子化の対象となる書類は主に次のとおりです。
- 取引に関する書類
- 会議資料
- パンフレットやカタログ
- チラシなどの販促物
さまざまな書類が対象ですが、ペーパーレス化のデメリットでもお伝えしたように、法律上電子化できない書類もあります。
また緊急時に閲覧が必要な書類などは、いつでも見られるように書面で残さなければなりません。
どのような書類を対象とするのか、選定しましょう。
電子化する書類が決まったら、過去の書類をどう扱うか決めましょう。
現状のまま紙で保存するのか、電子データとして取り込むのかなど決めなければなりません。
特に電子データとして取り込む場合、その作業が必要になります。
使用しやすいモニターやタブレットを準備する
ペーパーレス化にともない、書類を閲覧するモニターやタブレットの重要性は高まります。
業務に差し障りがないように、必要な台数を準備しましょう。
特に複数の資料に目を通しながら作業をしなければならない部署は、マルチディスプレイを導入するとよいでしょう。
マルチディスプレイとは、通常使用しているディスプレイに別のディスプレイを加えて、2面や3面でパソコンを利用することです。
大型のディスプレイを使用している方なら一つでもよいかもしれませんが、画面を切り替えながら作業するのは効率が悪いです。
タブレットは持ち運びに便利で、見やすいサイズのものをおすすめします。
操作が簡単な管理システムを導入する
操作性の高い管理システムを導入しましょう。
高性能なシステムであっても、どう操作したらよいのかわからないと使いづらいです。
メンテナンスに携わる人はもちろん、利用するすべての人が使いやすいものがよいです。
特に外国製のシステムを使用していると、表示が英語表記のみになることもあります。
ぱっと見て、どのボタンをクリックすればよいのかわかりづらいです。
またボタンの大きさや色など、わかりやすいデザインになっているかどうかもポイントです。
システムとしての機能を十分に備え、誰もが使いやすいものを選びましょう。
ファイル管理におけるルールを定める
ファイル管理のルールはしっかり決めておきましょう。
ペーパーレス化すると、多くの人が電子データを作成・取り込むことになります。
そのときにファイル管理のルールが定められていないと、いろいろなところにファイルが作られてしまったり、どこに何が入っているのかわからなくなったりする恐れがあります。
どのような資料がどこに入っているのか、誰でも探しやすいようにルールを定めましょう。
小規模な範囲からペーパーレス化を図る
ペーパーレス化の導入は、小規模な範囲からはじめましょう。
突然、すべての業務をペーパーレス化すると現場が混乱します。
新たな手順を覚えなくてはならないことも一因ですが、実際に導入して浮かび上がる課題もたくさんあるでしょう。
まずは部署やプロジェクト単位など、段階的に進めていってください。
その中でどのような効果があったのかをみて、さらに業務を効率化できるように改善点を探っていきましょう。
ペーパーレス化にともないオフィスを見直そう
ペーパーレス化は会社全体の業務に関わります。
業務内容やしくみについて理解し、どのように進めていくか考えなければなりません。
その中で、ペーパーレス化だけでは解決できない問題点も浮かんでくるでしょう。
これを機にオフィス全体を見直してはいかがでしょうか?
昨今、テレワークなど新しい働き方が普及してきました。
それにともない、オフィスの在り方も変わっています。
「ワクリノ」は、年間200件にものぼるオフィスの悩みを解決してきました。
より効率的に、みんなが心地よく働けるオフィスとなるよう、ICTを活用したリノベーションにも注力しています。
ペーパーレス化も含め、オフィスの問題点を解決したい方は、ぜひ「ワクリノ」にご相談ください。
まとめ
働き方改革の具体策にも含まれている「ペーパーレス化」。
より業務を効率化するため、ペーパーレス化の対応は急務です。
しかしペーパーレス化をするためには、さまざまなステップを踏まなければなりません。
ペーパーレス化を導入したいけど、どのように進めればよいのかわからないと頭を悩ませる方も多いでしょう。
ぜひ専門業者にご相談ください。
スムーズに導入できるよう、あらゆるサポートが受けられるため安心です。
ペーパーレス化を導入して、社員にも環境にもやさしい会社づくりを目指しましょう。
この記事を書いた人
- ワクリノ編集部スタッフ
- 働き方の進化をコンセプトに、オフィス改善のコンセプト設計から、効率的な運用設計、レイアウトプランニングなど、オフィスの新しい”働きやすさ”と“生産性の向上”を創造し提案していきます。