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ABWとフリーアドレスの違いとは?自社に合う空間づくりのポイントを徹底解説

2026.01.27
オフィスレイアウト

オフィス移転やリニューアルの検討を始めた際、多くの担当者様が直面するのが、ABWとフリーアドレスは何が違うのかという疑問ではないでしょうか。 
どちらも座席を自由にするオフィスレイアウトですが、導入目的や空間の作り方には決定的な違いがあります。

本記事では、言葉の定義の違いから、内装業者視点での空間デザインの違い、そして自社に適したスタイルの選び方までを詳しく解説します。

 

ABWとフリーアドレスの違い

まずは、混同されがちな「ABW」と「フリーアドレス」という言葉の定義を整理しましょう。
どちらも固定席を持たないスタイルですが、その背景にある目的や範囲には以下のような大きな違いがあります。

 

項目ABW(Activity Based Working)フリーアドレス

基本概念

働く場所を選ぶ考え方

座席運用の方法

目的

業務内容に応じた最適な環境づくり

席の共有化・省スペース

対象範囲

オフィス内の各エリア+自宅・カフェなど

主にオフィス内の執務席

運用ルール

業務に合わせて最適な場所を選択する

空いている席を自由に使う

必要な設備

集中ブース・フォンブース・ラウンジなど多様な空間

共有デスク・フリー席

空間設計

用途ごとに空間をゾーニング

単一の座席タイプが中心

メリット

生産性向上、自律的な働き方

コスト削減、席の効率化

課題

設備投資・ルール整備が必要

音・集中の問題が起きやすい

 

ABWとは「働く場所を選ぶ考え方」

ABWは「Activity Based Working」の略称であり、仕事の内容に合わせて働く場所や時間を自由に選ぶ働き方のことを指します。
最大の特徴は、選択できる働く場所がオフィスの中に留まらないという点です。従業員は、集中したいときは自宅やサテライトオフィスを選び、チームで議論したいときはオフィスのミーティングスペースを選ぶといったように、その時々の業務内容に最適な環境を自律的に決定します。

オフィス内部においても、集中作業用のブースやWeb会議用の個室、アイデア出しのためのオープンスペースなど、用途別に細分化された多様なエリアが用意されるのが一般的です。
ABWを導入する主な目的は、単なるスペース効率化ではなく、従業員一人ひとりの生産性を最大化しながら、心身の健康や幸福度であるウェルビーイングを向上させることにあります。

 

フリーアドレスとは「座席運用のルール」

一方のフリーアドレスとは、オフィスの中に個人専用の固定席を設けず、空いている席を自由に共有して使う仕組みです。
ABWが働き方の概念であるのに対し、フリーアドレスはあくまでオフィス内における座席運用のルールの一つであると捉えられるでしょう。

基本的には執務デスクの共有化がメインとなります。従業員が帰宅する際にはデスクの上を片付け、翌日はまた違う席に座るという運用が一般的です。
フリーアドレスを導入する主な目的は、従業員全員分の座席を用意する必要がなくなることによるスペースの効率化やコスト削減です。
また、毎日隣に座る人が変わることで、部署の垣根を超えた偶発的なコミュニケーションが生まれやすくなる効果も期待されています。

 

空間デザインから見るABWとフリーアドレスの違い

引用元:「シンカ」自由に働き、自分らしく働くオフィス

言葉の定義だけでなく、実際にオフィスを作る内装・レイアウトの視点で見ると、「どのような家具を置き、どのようなエリアを作るか」という空間設計のアプローチの違いが具体的になります。
ここでは、それぞれの典型的なレイアウトの特徴と、内装選びのポイントについて解説します。

 

ABWのオフィスレイアウト特徴

空間デザインの視点から見ると、ABWとフリーアドレスの違いはより明確になります。
ABWを取り入れたオフィスレイアウトは、コンセプト上、多様な専用エリアの集合体として設計されます。働く場所を選べるオフィスを実現するためには、従業員が選びたくなるような選択肢を用意しなければなりません。

具体的には、周囲の視線や音を遮断して作業に没頭できる壁に囲まれた集中ブースや、周囲に気兼ねなく通話やオンライン商談ができるWeb会議専用のフォンブースなどが配置されます。
また、リラックスしながら柔軟な発想でアイデア出しや雑談ができるラウンジのようなソファ席も重要な要素です。

さらに、特定のプロジェクト期間中だけチームで占有できるプロジェクトエリアを設けるなど、業務の性質に合わせてゾーニングされるのがABWオフィスの大きな特徴です。

 

フリーアドレスのオフィスレイアウト特徴

フリーアドレスのオフィスレイアウトは、大型の長机であるビッグテーブルや、従来の島型対向デスクを共有化して配置するスタイルが主流となります。
どこでも座れる自由さはありますが、基本的にはどの席もデスクワークの場所として設計されているため、空間のバリエーション自体は少ない傾向にあります。

このレイアウトにおける課題としてよく挙げられるのが、音の問題です。
Web会議を行う隣で集中作業をしている人がいるといった状況が生まれやすく、周囲の声が気になって集中できない、あるいは自分の話し声が迷惑になっていないか気になるといった不満が出やすい構造と言えます。単純に席を自由にするだけでは解決できない快適性の問題が、フリーアドレス特有の空間デザインには潜んでいるのです。

 

内装・家具選びの視点の違い

内装や家具選びにおいても明確な違いがあります。
フリーアドレスでは、誰が座っても使いやすい汎用性のあるデスクやチェアを選ぶことが一般的です。

一方、ABWではそのエリアで行う活動に特化した機能を持つ家具や空間の選定が必要です。
例えば、集中エリアには視線を遮るパネル付きのデスクを配置し、コミュニケーションエリアにはあえて座り心地を少し柔らかくしたソファを置くなど、ゾーニングに合わせてメリハリのある家具配置を行います。
ABWでは、単に家具を並べるだけでなく、空間ごとの機能を最大化させるための緻密な設計が求められます。

 

それぞれのメリット・デメリットと導入効果

どちらのスタイルにも、導入によって得られる効果と、気をつけるべき課題が存在します。自社の現状課題を解決できるのはどちらなのか、また導入後に発生しうるリスクを許容できるのかを判断するために、それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。

 

フリーアドレス導入のメリット・デメリット

フリーアドレス導入の最たるメリットは省スペース化です。
営業職など外出が多い職種が多い企業であれば、在席率に合わせて座席数を減らし、オフィス面積を縮小することで賃料を削減できます。
また、毎日席を片付ける必要があるため、書類のペーパーレス化の促進や、席が変わることで気分転換になりリフレッシュ効果が得られる点も魅力です。

一方、誰がどこにいるか把握しづらくなる点はデメリットです。
また、制度上は自由席であっても心理的な縄張り意識が働き、結局、毎日同じ席に同じメンバーが座る座席の固定化が起きることも珍しくありません。
さらに、顔を合わせるメンバーが流動的になることで、チームとしての帰属意識が低下する懸念もあります。

 

ABW導入のメリット・デメリット

ABW導入に期待される最大のメリットは、個人の生産性の向上です。
業務内容に応じて最適な環境を選べるため、効率よく仕事を進めやすくなります。
また、先進的で柔軟な働き方ができるオフィス環境は、採用活動における強力なアピールポイントとなり、優秀な人材の確保や従業員満足度の向上にも直結します。

デメリットとしては、導入コストがかかる点が挙げられます。
多様なスペースを作るための内装工事費や、高機能な家具の購入費、さらにどこでも働ける環境を支えるITツールの整備が必要です。
また、従業員が目の届かない場所で働くことになるため、従来の管理型マネジメントからの脱却が必要となり、労務管理が複雑になったり、従業員自身の自己管理能力が問われたりするという側面もあります。

 

自社にはどっちが合う?失敗しない選び方と手順

ここまで両者の違いを見てきましたが「結局うちの会社にはどっちが合うの?」と迷われる方も多いでしょう。ここでは、自社に適したスタイルを見極めるための判断基準と、導入を成功させるための具体的なステップ、そしてよくある失敗例からの学びをご紹介します。

 

コストと生産性のどちらを重視するか

自社に合うスタイルを選ぶ際は、導入の目的を明確にすることが重要です。
まずは、オフィスの座席数を減らしてコストを抑えたい、あるいは書類を減らしてオフィスをすっきりさせたいというニーズがあるなら、フリーアドレスから始めるのが適しています。

一方で、全社的な働き方改革の推進や、従業員のクリエイティビティの向上が目的であるなら、ABWの導入がおすすめです。
特に出社とテレワークを組み合わせたハイブリッドワークを中心とする企業であれば、出社時のオフィスにはコミュニケーションや高度な集中環境といった付加価値が求められるため、ABWとの親和性が非常に高いといえます。

 

よくある失敗事例

オフィスリニューアルでよくある失敗事例として、ABWを目指したはずが、結果的にただの席自由化である質の低いフリーアドレスになってしまうケースがあります。
例えば、おしゃれなカフェ風のオープンスペースを作ったものの、周囲の雑音が気になって仕事にならず、結局誰も使わない場所になってしまうといった失敗です。

このような失敗の主な原因は、単なるハード面の不足というよりも、その会社に合った働き方を十分に想定できていなかった点にあります。
例えば、クリエイティブな議論よりも個人での集中作業が多い職種にもかかわらず、開放的なオープンスペースを優先してしまうと、結果として使われない空間が生まれてしまいます。

ABWを成功させるためには、業務内容や人員構成、働き方の実態を事前に整理したうえで、必要なスペースに優先順位を付け、全体レイアウトを計画することが欠かせません。見た目のデザインだけを先行させ、働き方との整合性が取れていない場合、従業員にとってストレスの溜まるオフィスになってしまいます。

失敗しないオフィスレイアウトに興味がある方はこちらもご覧ください。

 

導入を成功させるステップ

ABWやフリーアドレスの導入は、正しい手順で進めることが成功への近道です。
まずは現状調査を行い、自社の従業員が何の業務にどの程度の時間を使っているのかを把握しましょう。Web会議や一人での集中作業など、業務の種類と量を理解することで、必要なスペースの種類と数を判断できます。

次に、調査結果に基づいたゾーニング設計を行います。業務比率に合わせて、集中エリア、協働エリア、休憩エリアなどの面積配分を決定し、動線を考慮して配置します。
そして最後に忘れてはならないのが、ITツールやルールの整備です。場所にとらわれずに働くためには、ペーパーレス化はもちろん、チャットツールの活用や、姿が見えなくても信頼関係を築ける勤怠管理ルールの策定が重要です。

 

ABW・フリーアドレス導入事例

ここではWAKURINOが手掛けた、ABW・フリーアドレスの事例をご紹介します。

 

ABW導入事例:株式会社イデックスビジネスサービス

引用元:第38回日経ニューオフィス賞 受賞 ~“人と人がつながる未来のオフィス”を体現したWAKURINO LIVE OFFICE~

WAKURINOを運営するイデックスビジネスサービスは「人と人がつながる未来のオフィス」をコンセプトに、現代オフィスの流行を豊富に盛り込んだオフィスレイアウトを創り上げました。

ワークスペースには、その日の気分に応じて働く場所を選べるABWを導入。バーカウンター席、集中作業エリア、ソファ席といった多彩な座席から、従業員が自身の目的に適したワークスペースを選択できます。

第38回 日経ニューオフィス賞「九州・沖縄ニューオフィス奨励賞」を受賞した同オフィスでは、見学ツアーを開催中です。最新トレンドをふんだんに盛り込んだABWのオフィス環境をぜひご体験ください。

興味がある方はこちらからご覧ください。

 

フリーアドレス導入事例: セキスイファミエス九州株式会社 福岡支店 様

引用元:空間に"ゆとり"と"いろどり"を

住宅リフォーム・メンテナンス業を営むセキスイファミエス九州株式会社様は、福岡支店のオフィスをリニューアル。
会社に行きたくなるような”カフェ風オフィス”である執務エリアにフリーアドレスを導入しました。

執務エリアにはウッドタイルを敷き詰め、温かみのある空間を演出。広々とした空間に黒で統一された家具を配置し、従業員が気分に合わせて座席を選べる自由な空間を作り上げました。

ABWの要素を取り入れたコミュニケーションエリアは、個室ブースやカフェ席といった業務に応じて選べる複数の座席を設置。統一感のある暗色と木目でデザインされた家具・建具が、実直な企業カラーを演出しています。

 

まとめ

フリーアドレスが座席運用のルールであるのに対し、ABWは働く場所そのものを選ぶ考え方であり、実現には多様な機能を持った空間設計が必要です。
これからのオフィスづくりにおいては、単に席を減らすだけでなく、働く人が業務内容に合わせて快適に過ごせる居場所を作ることが、企業の成長を左右する重要な要素となります。

WAKURINO(ワクリノ)では、企業様ごとの働き方や業務内容、将来的な方向性までを丁寧にヒアリングしたうえで、働きやすさを重視したオフィスレイアウトをご提案しています。

先進的かつ効率的なオフィスレイアウトを実現したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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この記事を書いた人

ワクリノ編集部スタッフ
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