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会社を移転する際の本店移転登記を完全解説|必要書類・費用・手続きの流れを総まとめ

2026.07.08
オフィス移転

会社を移転する際の本店移転登記を完全解説|必要書類・費用・手続きの流れを総まとめ

会社を移転する際、引っ越し業者の手配や社内の段取りに目が向きがちですが、並行してさまざまな手続きを進める必要があります。

そのなかでも、最優先で対応したいのは本店移転登記です。移転日から2週間以内という期限が定められており、対応が遅れると代表者個人に過料が科されるリスクがあります。

そこで本記事では、本店移転登記の必要書類や費用、申請手順について詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

※本記事は2026年6月時点の情報です。

会社の本店移転登記とは何か

本店移転登記でつまずきやすいのは、効力発生日の数え方、期限を過ぎた場合のリスク、そして管轄による手続きの違いです。この3つを最初に整理しておくと、その後の準備をスムーズに進められます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

本店移転登記が必要になるタイミングと法的義務

会社の本店所在地は登記事項であり、変更が生じた場合には法律上の登記義務が発生します。会社法第915条第1項では、登記事項に変更が生じたときは2週間以内に変更登記を申請しなければならないと定めています。

登記申請の起算点は、荷物の搬入日や賃貸借契約上の入居日ではなく、本店移転の効力が生じた日です。効力発生日は、原則として以下のうち最も遅い日を基準に判断します。

  • 決議で定めた移転日
  • 定款変更が必要な場合の決議日
  • 実際に本店機能を移転して業務を開始した日

また、同一ビル内の別フロアへの移転であっても、登記簿上の本店の所在場所として記載している階数や部屋番号、ビル名などが変わる場合は、変更登記が必要です。行政による住居表示の実施等により登記上の本店所在地の表示が変わる場合も、変更登記が必要になる点は見落とされやすいので注意しましょう。

会社の申請期限(2週間ルール)と違反した場合のリスク

本店移転登記の期限を過ぎた状態を「登記懈怠(とうきけたい)」といい、会社法第976条第1号に基づき代表者個人に100万円以下の過料が科される恐れがあります。実務上の過料額は数万円程度にとどまる例が多いとされますが、公的な算定基準は公開されていません。

なお、登記懈怠があっても過料決定が来ないケースもあります。ただし、過料が来るかどうかは裁判所の裁量であり、来ないことを前提に放置するのは避けたほうがよいでしょう。2週間の期限は意外と短く、準備期間を考えると移転日が決まった段階で書類準備を始めておくことをおすすめします。

なお、本店だけでなく支店を登記している会社が支店を移転した場合は、別途「支店移転登記」の手続きが必要です。本記事では本店移転登記を中心に解説しますが、支店を届け出ている企業も同様に移転登記の対象となる点を覚えておきましょう。

管轄内移転と管轄外移転の違い

法務局にはそれぞれ管轄エリアがあり、移転前後で担当法務局が変わるかどうかによって「管轄内移転」と「管轄外移転」に分かれます。同一法務局の管轄内であれば申請書は1通、登録免許税は3万円で済みます。

管轄が変わる場合は旧本店・新本店それぞれの申請書が必要で、登録免許税は合計6万円です。管轄外移転では、申請書2通を旧本店所在地の法務局に同時提出する運用となっており、新本店所在地の法務局に直接提出する必要はありません。また、2025年4月21日以降は、原則として新本店所在地を管轄する法務局への会社実印の再登録は不要です。

なお、同じ東京都内であっても、区によって管轄法務局が異なることがあります。「同じ都道府県内だから管轄内」と思い込むと費用と書類の見積もりが狂うため、移転先住所が決まった段階で必ず法務局サイトで管轄を確認しましょう。

会社を移転するときの本店移転登記をどう乗り越えた?【経験者100名に聞いた】

会社を移転するときの本店移転登記をどう乗り越えた?【経験者100名に聞いた】

本店移転登記は、実際にどう乗り越えられているのでしょうか。ここでは、会社移転の経験者100名への調査データから、申請方法の実態、難しいと感じた手続き、そして「もっと早く動けばよかった」と後悔した届出について紹介します。

申請方法の進め方【自分で申請した?司法書士に頼んだ?】

申請方法の進め方【自分で申請した?司法書士に頼んだ?】

本店移転登記の申請方法を調査したところ、自社の社内担当者が対応したケースが多数を占めました。最も多かったのは「自社で書類を準備し窓口申請」の49.0%です。次いで、自社での郵送申請が32.0%、オンライン申請が8.0%でした。

司法書士に一部または全面的に委託した割合は、合わせて11.0%にとどまりました。つまり、約9割の企業が自社対応で申請を進めていることがわかります。

申請方法は、窓口・郵送が中心でオンライン申請はまだ8.0%と少数派です。電子証明書の準備や専用ソフトの導入が、オンライン申請が広がらない一因と考えられます。

担当者が「難しかった」と感じた手続き

担当者が「難しかった」と感じた手続き

本店移転登記の手続きで難しいと感じた点として、最も多かったのは管轄内移転か管轄外移転かの判断で50.0%でした。次いで、定款変更が必要かどうかの判断が39.0%、必要な決議機関・決議方法の判断が26.0%と続きます。

上位3つは、いずれも自社の状況を確認する初期判断に関する項目です。一方、申請書類の書式(22.0%)や登録免許税の金額(21.0%)など、手続きそのものの実務面は中位にとどまりました。

「特になかった」は6.0%のみで、大半の担当者が何らかの判断に難しさを感じていることがわかります。

「もっと早く動けばよかった」と後悔した届出や手続き

「もっと早く動けばよかった」と後悔した届出や手続き

「もっと早く動けばよかった」と感じた届出を調査したところ、税務署への異動届出書・移転届が39.0%でもっとも多くなりました。次いで、年金事務所への適用事業所所在地変更届が38.0%、労働基準監督署・ハローワークへの変更届が29.0%と続きます。

上位3つは、いずれも届出期限が短い手続きです。とくに、年金事務所への届出は事実発生から5日以内と短く、登記完了を待っていては間に合わない恐れがあります。

会社の本店移転登記に必要な書類と費用

会社の本店移転登記に必要な書類と費用は、管轄内移転か管轄外移転かによって異なります。ここでは、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

管轄内移転の場合:登録免許税は3万円

管轄内移転の場合、登録免許税は3万円で、必要書類は定款変更の有無によって以下の2パターンに分かれます。

必要書類

定款変更が不要

定款変更が必要

申請書

取締役会議事録または取締役の決定書

株主総会議事録

原則不要

株主リスト

原則不要

委任状(司法書士に依頼する場合)

申請書の書式は、法務局公式サイト「商業・法人登記の申請書様式」から無料でダウンロードできます。オンライン申請の場合は、インターネットバンキングによる電子納付も利用可能です。

定款変更の要否は「管轄内か管轄外か」だけではなく「定款に記載されている本店所在地の範囲」と「移転先がその範囲内かどうか」で決まります。

定款に「東京都渋谷区」のように最小行政区画までしか記載がなく、同一の最小行政区画内に移転する場合は、定款変更は不要です。一方、「渋谷区〇〇✕丁目△番◇号」のように番地まで記載がある場合は、同一区内での移転であっても定款変更が必要となり、株主総会の特別決議を経なければなりません。

管轄外移転の場合:登録免許税は6万円

管轄外移転の場合、登録免許税は旧本店所在地分3万円と新本店所在地分3万円を合わせた合計6万円です。必要書類は以下のとおりです。

書類

定款変更が不要

定款変更が必要

申請書(旧本店所在地宛て)

申請書(新本店所在地宛て)

取締役会議事録または取締役の決定書

株主総会議事録

原則不要

株主リスト

原則不要

委任状(司法書士に依頼する場合)

申請書は2通作成し、旧本店所在地の法務局に同時提出します。新本店所在地の法務局への直接提出は不要です。

会社の本店移転登記における申請手順

法務局

会社の本店移転登記における申請手順は、大きく3つのステップに分けられます。ここでは、それぞれのステップについて詳しく紹介します。1ステップずつ見ていきましょう。

ステップ1:株主総会・取締役決定で議事録を作成する

本店移転の決議機関は定款変更が必要かどうかに加え、取締役会設置会社かどうか、株主総会でどこまで決議するかによって変わります。詳細は以下のとおりです。

移転パターン

定款変更

決議機関

同一最小行政区画内(取締役会あり・定款が最小行政区画までの記載)

不要

取締役会決議

同一最小行政区画内(取締役会なし・定款が最小行政区画までの記載)

不要

取締役が複数なら取締役の過半数一致

取締役1名ならその取締役の決定

区画をまたぐ移転(取締役会あり)

必要

1. 株主総会の特別決議

2. 取締役会決議

区画をまたぐ移転(取締役会なし)

必要

1. 株主総会の特別決議

2. 取締役が複数なら取締役の過半数一致、取締役1名ならその取締役の決定

そのうえで、具体的な移転先住所と移転日を、取締役会設置会社では取締役会、取締役会非設置会社では取締役の決定など、会社の機関設計に応じて決定します。

定款変更により株主総会議事録を添付する場合は、登記申請書に株主総会議事録と株主リストを添付しましょう。株主リストには、議決権数上位の株主などについて、氏名や住所、株式数、議決権数、議決権割合などを記載します。

取締役会議事録には、以下の項目を明記します。

  • 決議日
  • 移転先住所
  • 移転日
  • 出席取締役全員の氏名
  • 賛否など

なお、株主全員が同意すれば、実際に株主総会を開かなくても決議が成立したとみなす「書面決議(みなし決議)」という方法も選択肢のひとつです。スピード感を持って手続きを進めたい場合に有効な手段ではあるものの、議決権を行使できる株主全員から、書面または電磁的記録による同意を得る必要があります

ステップ2:法務局への申請書類一式を準備する

申請書は、法務局公式サイト「商業・法人登記の申請書様式」から無料でダウンロードできます。申請書の主な記載項目は、以下のとおりです。

  • 会社法人等番号
  • 商号
  • 本店(現住所)
  • 登記の事由
  • 登記すべき事項(新住所と移転日)
  • 登録免許税
  • 添付書類一覧
  • 申請日
  • 申請人である会社の本店・商号
  • 代表取締役の住所・氏名、登記所届出印
  • 提出先法務局名

とくに「登記すべき事項」には「令和〇年✕月△日本店移転」と移転日を明記し、新住所は番地・号まで省略せず正確に記載します。

収入印紙は、申請書の所定欄に貼り付けますが、消印(割り印)はしてはいけない点に注意しましょう。郵便切手や契約書の印紙と同じ感覚で消印してしまうと、登録免許税の納付に使えない扱いになる恐れがあります。

ステップ3:申請方法を選んで提出する(窓口・郵送・オンライン)

本店移転登記の申請方法は、オンライン申請と書面申請に分かれ、書面申請は窓口持参または郵送で行えます。申請方法の詳細は、以下のとおりです。

申請方法

提出先

特徴・注意点

窓口申請

管轄法務局

窓口で確認を受けられる場合があるが、審査後に補正連絡が来ることもある。平日昼間の時間確保が必要。

郵送申請

管轄法務局(管轄外移転の場合は旧本店所在地の法務局)

収入印紙を貼付した台紙等を同封。書留・特定記録など追跡可能な方法で送付するのが望ましい。

オンライン申請

登記・供託オンライン申請システム

専用ソフトをPCにインストールして申請。電子納付も利用可能。

電子署名には、商業登記電子証明書やマイナンバーカードの署名用電子証明書など、手続きに対応した電子証明書が必要です。マイナンバーカードを使う場合は、ICカードリーダライタまたは対応するスマートフォンで読み取る方法があります。

なお、完全オンライン申請(電子署名付き)には全書類の電子化が必要です。ただし、議事録等が電子署名付きの電子データでない場合は、オンライン申請後に添付書面を書面で提出・郵送する方法でも対応できます。

本店移転登記後に会社が行う各機関への届出一覧

本店移転登記が完了すれば一安心、というわけにはいきません。税務署や年金事務所への届出には、登記完了を待っていては間に合わないものもあり、なかには「事実発生から5日以内」というタイトな期限が設けられている手続きもあります。

ここでは、優先的に動くべき3つの届出先を紹介します。

税務関連の届出(税務署・都道府県税事務所・市区町村)

本店移転後の税務関連届出は、提出先が税務署、都道府県、市区町村の3つに分かれており、書類の種類と期限がそれぞれ異なる点に注意が必要です。

届出先

書類名

期限

提出先

税務署

異動届出書

速やかに(明確な期限規定なし)

旧所在地管轄の税務署

税務署

給与支払事務所等の移転届出書

移転日から1ヵ月以内(所得税法第230条)

旧所在地管轄の税務署

都道府県税事務所

法人の異動届

法人設立等申告書など

自治体ごとに異なる

旧所在地・新所在地の都道府県税事務所に要確認

市区町村

各種届出

自治体ごとに異なる

新旧両方の市区町村に個別確認

給与支払事務所等の移転届出書は、登記完了を待たずに提出できます。移転日から1ヵ月以内という期限があるため、登記の完了を待っていると間に合わないケースがあります。そのため、登記申請と並行して税務署への届出準備を進めましょう。

社会保険・労働保険の届出(年金事務所・労働基準監督署・ハローワーク)

社会保険・労働保険の届出は期限が短く、登記完了を待っていると間に合わないリスクがあります。

届出先

書類名

期限

年金事務所

健康保険・厚生年金保険 適用事業所名称/所在地変更(訂正)届

事実発生から5日以内

労働基準監督署

労働保険名称所在地等変更届

変更のあった日の翌日から起算して10日以内

ハローワーク

雇用保険事業主事業所各種変更届

変更のあった日の翌日から起算して10日以内

登記完了までの日数は法務局や申請状況によって異なる一方、年金事務所の届出期限は事実発生から5日以内です。登記事項証明書のコピーがまだ取得できない状態で、届出期限が来ることがあります。この場合は、登記申請中であることや登記事項証明書の取得見込みを、提出先の年金事務所に事前に相談しましょう。

その他の住所変更手続き(銀行・郵便局・取引先)

本店移転登記とは別に、銀行や郵便局、取引先への住所変更の手続きも進めなくてはいけません。

手続き先

対応内容

タイミング

取引銀行

法人口座の登録住所変更

登記完了後、速やかに

郵便局

法人あて転居届(郵便転送)

移転前に早めに提出

主要取引先・顧客

住所変更の案内・登録情報の更新依頼

移転前に余裕をもって

リース・保険・各種サービス

契約情報の住所変更

移転後、速やかに

取引銀行については取引規定上の届出義務が定められている場合があり、取引先との契約書に通知義務が盛り込まれているケースもあります。対応が遅れると重要書類が旧住所に届かなくなるリスクや、融資・与信取引の確認に支障が出る可能性があるため、実務上の優先度は高いといえるでしょう。

取引銀行への法人口座住所変更は、登記完了後の登記事項証明書等の提出を求められることが多いものの、必要書類の種類や有効期限は金融機関・取引内容によって異なります。登記完了前から事前相談・必要書類の確認・来店予約を進めておくと、登記完了後の手続きをスムーズに進められます。

会社移転の手続きは「本店移転登記」から始めよう

会社移転の手続きは「本店移転登記」から始めよう

会社の本店移転で最初に着手すべきは、移転日から2週間以内という期限が定められた本店移転登記です。登記が完了して初めて、税務署・年金事務所・取引銀行など後続の手続きが動き出します。

まず自社の定款を確認して定款変更の要否を判断し、必要な決議と書類準備を移転日より前に終わらせておくことが、法的な漏れなく移転を完了させる最短ルートです。本記事の内容を参考に、ひとつずつ確実に対応していきましょう。

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この記事を書いた人

ワクリノ編集部Column_editor
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