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事務所のリフォームにかかる費用の相場は?勘定科目、経費処理、補助金も解説
事務所のリフォームを検討し始めると、どのくらいの予算が必要か、費用はどう経費処理するのか、使える補助金はあるのかといった疑問が次々と出てくるものです。とくに賃貸物件の場合は、工事できる範囲やオーナーへの承認、退去時の原状回復義務など、確認すべき事項は思いのほか多いでしょう。
そこで本記事では、事務所のリフォームにかかる費用の相場を予算別に整理したうえで、勘定科目の考え方や、活用できる補助金・助成金制度まで幅広く解説します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
事務所のリフォームの費用相場と予算別にできること
リフォームの費用に関する実態を104人に調査したところ、総額が「300万円以上〜500万円未満」と回答した割合が31.7%で最多となりました。
次いで「500万円以上〜1,000万円未満」が25.0%という結果で、両者を合わせると半数以上を占めています。このことから、300万円〜1,000万円のレンジで予算を組む企業が多数派であることがわかります。一方、1,000万円以上をかけたケースも15.4%存在し、フルリノベーション級の改修も一定数行われている実態がうかがえます。
こうした結果からもわかるように、リフォームの費用は予算帯によって大きな差があり「いくらかければ何ができるのか」を正確につかんでおく必要があります。
予算感を見誤ると「思ったより工事範囲が狭かった」「逆に予算を持て余した」といったミスマッチが起こりかねません。実現可能な工事の幅をあらかじめ把握し、自社の予算がどのゾーンに該当するかを整理しましょう。
ここでは5つの予算帯別に、実現可能なリフォーム内容を解説します。
100万円未満でできる事務所のリフォーム
100万円未満の予算でできるリフォームは、事務所全体を一新する工事ではなく、老朽化した箇所をピンポイントで改善する部分改修が中心です。例えば、タイルカーペットの張り替えや壁クロスの貼り替えは、比較的小規模に実施しやすい工事です。
費用は、施工面積や既存床・壁の状態によって変わります。タイルカーペットは、1㎡あたり2,000円〜4,000円程度、壁紙は1㎡あたり1,000円〜1,500円程度が目安です。このような小規模工事は、施工範囲を分けたり夜間・休日に作業したりすることで、業務への影響を抑えられる場合があります。
一方で、造作壁の設置・撤去、大がかりなレイアウト変更、間仕切り工事などは工事範囲が広がりやすく、100万円未満の予算では対応が難しくなります。
まずは「古さ」「汚れ」「暗さ」など、従業員が日常的に感じている不満を洗い出し、壁・床・照明といった効果が見えやすい箇所から優先的に改修するのがおすすめです。
100万円〜300万円でできる事務所のリフォーム
100万円から300万円の予算帯は、施工範囲を絞れば「見た目」と「使い勝手」の両方を改善しやすい現実的なゾーンです。一般的なオフィスの内装工事は坪10万円〜30万円程度が目安とされているため、全面改修では面積によって費用が大きく膨らみます。
一方で、会議室や受付、エントランス、執務スペースの一部など、優先順位をつけて改修すれば、100万円〜300万円の範囲でも効果を出しやすくなります。工期は工事内容によって異なりますが、内装工事全体では1ヵ月〜1ヵ月半程度が目安です。
ただし、壁・床・天井などの建築工事は2日〜4週間、照明やコンセントなどの電気設備工事は1日〜2週間程度です。部分改修であれば、より短期間で済む場合もあります。業務を続けながら施工できるケースもあるものの、パーティションの解体など大きな音や広い作業スペースを伴う工事は、土日・夜間施工になるケースも珍しくありません。
300万円〜500万円でできる事務所のリフォーム
300万円〜500万円の予算帯は、既存の内装や設備を活かしながら、執務スペースのレイアウト変更や間仕切りの新設を検討できる価格帯です。この予算帯ではオフィス全体を一新するよりも、会議室の新設や集中ブースの追加、執務エリアの一部見直しなど、目的を絞ったリフォームとして考えるのが現実的です。
設備更新やレイアウト変更を含む改装では、物件の状態や仕様によって費用が大きく変わります。例えば、スケルトン物件のように床・壁・天井から整える場合は坪20万円〜40万円程度、既存内装を活かせる居抜き物件では坪10万円〜20万円程度に収まる傾向があります。
30〜40坪規模で300万円〜500万円に収めたい場合は、既存の間取りや空調、照明、配線をできるだけ活かし、工事範囲を優先順位の高いエリアに絞りましょう。
500万円〜800万円でできる事務所のリフォーム
500万円〜800万円の予算帯は、事務所の「印象」と「機能」の両方を同時に刷新できる、現実的かつ効果の大きい価格帯です。40坪・10人規模のオフィスリノベーションの費用相場は最低400万円程度とされており、600万円〜800万円あれば設備や内装グレードにある程度のこだわりを反映できます。
この予算帯では、執務エリアや集中ブース、休憩スペースといった用途別エリアの整備を1つのプロジェクトとしてまとめて進められる点が大きな特徴です。休憩スペースの新設は従業員の居心地の良さを高め、自然なコミュニケーションの活性化にもつながります。
また、来客の目に触れるエントランスや応接スペースに投資することで、採用活動においても「オフィス環境の良さ」を具体的なアピールポイントとして活用できます。採用強化と従業員満足度の向上を社内提案の軸に据えるなら、500万円〜800万円の予算帯は経営層の納得を得やすいでしょう。
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1,000万円以上でできる事務所のリフォーム
1,000万円以上の予算帯は、面積や仕様によっては、内装や設備、レイアウトを大きく見直すフルリノベーションが現実的な選択肢となる水準です。事務所のフルリノベーションの費用相場は坪単価30万円前後とされており、40坪規模であれば1,200万円前後がひとつの目安です。
一方、坪単価は物件の状態や内装グレードによって大きく異なります。例えば、スケルトン物件では坪30万円〜80万円、標準的な内装工事では坪20万円〜40万円程度になるケースもあります。
OAフロアが未設置の物件や既存の電気容量が不足する物件では、床下配線や分電盤、幹線工事などの追加工事が発生する可能性もあります。また、フリーアドレス化や席数変更にともなう電源・通信環境の見直しも見落とされがちです。
1,000万円以上の予算があれば、見た目をよくするだけにとどまらず働き方の変化に対応した長期的に使いやすいオフィス環境を整えられます。
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事務所のリフォーム費用の勘定科目と経費処理
リフォームの勘定科目について104人に調査したところ「同じ工事の中に複数の勘定科目が混在した」が39.4%で最多でした。
次いで「建物本体と建物附属設備の区別がわかりにくかった」が28.9%、「修繕費と資本的支出の判断が難しかった」が26.0%と続きます。このように、複数の処理が絡み合うケースが多いのが実情です。
リフォームの費用は、工事の内容によって「修繕費」になるか「資本的支出」になるかが分かれ、税務上の扱いがまったく異なります。ここでは、代表的な4つの処理方法を、判断基準とあわせて見ていきましょう。
修繕費として処理する
リフォームの費用を「修繕費」として計上できるのは、工事の目的が資産の現状維持や原状回復にとどまる場合です。国税庁の定めによると、事業の用に供している建物などの資産について、通常の維持管理や修理のために支出されるものは必要経費に当たります。
一方、資産の使用可能期間を延長させたり価値を高めたりする部分の支出は「資本的支出」として区別されます。修繕費として処理できる代表的な工事は、経年劣化により剥がれた外壁の塗り直しや、壊れた設備の修理など、いわゆるマイナス状態から元の状態に戻す工事です。
また、ひとつの修理・改良などの金額が20万円未満の場合、またはおおむね3年以内の周期で行われる修理・改良については、修繕費として必要経費に算入することが認められています。修繕費として処理すれば支出した事業年度に全額を経費計上できるため、資金繰りや税務の面でのメリットは大きいでしょう。
資本的支出として処理する
リフォームの費用が「資本的支出」に区分された場合、修繕費のように支出した年度に全額を経費として計上できません。国税庁によれば、固定資産の修理・改良のために支出した金額のうち、その資産の価値を高めたり耐久性を増すと認められる部分が資本的支出に該当します。
具体的には、建物への避難階段の設置など物理的に付加した工事や、用途変更のための模様替え・改装に直接要した費用が原則として資本的支出とされます。
例えば、壁紙や床材の張り替えであっても、同じグレードの素材への交換であれば修繕費として扱われるのが原則です。一方、高級素材への変更や断熱性能の付加など価値が向上する工事は資本的支出となり、資産計上が必要です。
資本的支出として処理する場合は、その支出を行った減価償却資産と種類・耐用年数が同じ減価償却資産を新たに取得したものとして、償却費を計算しましょう。
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建物附属設備として処理する
空調や照明、電気配線、給排水、防災設備など、建物に附属して機能する設備を新設・更新する工事費用は「建物附属設備」として資産計上します。そして、減価償却によって複数年にわたり経費化するのが原則です。
建物附属設備とは、冷暖房・照明・通風などの附属設備を処理する際に用いる勘定科目であり、建物本体とは税務上の耐用年数が異なります。そのため、両者を区別して処理する必要があります。国税庁が公表している耐用年数表は、以下のとおりです。
設備 | 耐用年数 |
電気設備(照明設備を含む)のうち蓄電池電源設備 | 6年 |
その他の一般的な電気設備 | 15年 |
給排水・衛生設備およびガス設備 | 15年 |
設備の種類や工事内容によって耐用年数や勘定科目の区分が変わるため、工事着手前に会計担当者や税理士に確認しておくことが不可欠です。
器具備品として処理する
デスク・チェア・収納棚など、建物に固定されず取り外しが可能な什器・備品を導入する場合は「器具備品(工具器具備品)」として資産計上します。この際、法定耐用年数に応じた減価償却を行うのが原則です。取得価額が10万円未満または使用期間が1年未満のものは、消耗品として全額を必要経費・損金に算入できます。
一方、10万円以上のものは原則として減価償却資産となりますが、取得価額が20万円未満であれば一括償却資産を選択できる場合があります。また、一定の中小企業者等は、30万円未満の少額減価償却資産について年間300万円を上限に即時損金算入できる特例の適用対象です。
国税庁の耐用年数表によれば、事務机・事務いす・キャビネットは、主として金属製のものは耐用年数15年、その他のものは8年と定められています。少額資産の判定は「1台ごと」「1組ごと」など通常取引される単位で行うため、最終的な処理方法は顧問税理士に確認しましょう。
賃貸事務所で事務所のリフォームを行う際の注意点
賃貸事務所のリフォームでは、計画段階での見落としがそのまま「契約違反」や「想定外の高額な原状回復費」につながりかねません。所有物件とは異なり、工事の承認やテナント側の権限には明確な制約があるためです。ここでは、リフォームに着手する前に知っておくべき4つの注意点を解説します。
オーナー・管理会社の承認を取る
賃貸事務所でリフォームを行う際に見落としがちなのが、工事前のオーナーや管理会社への事前承認です。借主が専有部分に手を加える工事を行う場合、貸主の同意が必要とされているケースが多く、無断で工事を進めると契約違反となり原状回復を求められるリスクがあります。
申請には、工事内容や期間、作業時間帯、搬入経路、騒音対策などを明記した書面の提出が求められ、承認を受けてからでないと工事を開始できません。また、オフィスビルや店舗の賃貸借契約では、原状回復工事を行う業者がビル側の指定業者に限定されているケースも多く、借主が自由に業者を選べない場合があります。
リフォーム計画の初期段階で賃貸借契約書の内容を精査し、オーナーや管理会社と書面でやり取りを残しておきましょう。
工事できる範囲を確認する
賃貸オフィスのリフォームを計画する前に必ず把握しておきたいのが「A工事・B工事・C工事」という工事区分です。どの区分に該当するかによって、発注者・費用負担者・業者の選定権がそれぞれ異なります。
区分 | 発注者 | 費用負担 | 業者選定 |
A工事 | オーナー | オーナー | オーナー |
B工事 | オーナー | テナント | オーナー指定 |
C工事 | テナント | テナント | テナント自由 |
B工事は発注者と費用負担者が異なるうえ、テナント側が業者を選べないため価格交渉が難しく、想定より費用が高額になりやすい点に注意しましょう。壁紙・床材・間仕切りなど専有部分の内装はC工事として借主が業者を自由に選べるケースが多いものの、工事区分はビルごとに異なります。
原状回復の範囲をチェックする
リフォームを実施する前に見落としがちなのが、退去時の原状回復義務との関係です。とくに「スケルトン戻し」が契約条件となっているか「標準仕様への復旧」で済むかによって、退去時の工事費用は大きく変わります。
契約書と特約の内容を正確に把握しておかないと、想定外の高額費用が発生するリスクがあります。システム天井やOAフロア、特注空調システムなど、特殊な内装や設備を導入すると、撤去・復旧費用が標準的なオフィスと比べて50〜100%以上増加することもあります。
原状回復の対象に含まれる工事の一例は、以下のとおりです。
- 借主が設置した間仕切りや造作物の解体・撤去
- クロスやタイルカーペットの張り替え
- 入居時に移動した空調機器や防災設備を元の位置に戻す工事など
リフォーム着手前に契約書の原状回復条項をよく確認し、将来の退去コストまで含めた総費用で判断しておかないと、あとから想定外の出費に頭を抱えることになります。
工事期間中の業務場所を確保する
リフォーム工事中にどこで業務を行うかは、計画段階から具体的に検討しておくべき課題です。工事期間中に現オフィスを離れる場合は、近隣のシェアオフィスやレンタルオフィスなど、短期間だけ契約できる仮オフィスを確保するのもひとつの案です。
現オフィスに居ながら工事を進める場合は、会議室を一時的な執務スペースに転用したり、フロアを半分ずつに分けて段階的に工事に着手する方法もあります。テレワークや在宅勤務制度を活用して出社人数を絞りながら工事を進めることも有効です。
事務所のリフォームに使える補助金・助成金
事務所移転や新オフィスの整備にかかる費用負担を抑える手段として、補助金・助成金の活用を検討する価値があります。代表的な例としては、小規模事業者向けの販路開拓・業務効率化を支援する補助金や、生産性向上に役立つ設備投資を対象とした助成金などが挙げられます。
このような補助金を活用すれば、数十万円から数百万円規模の支援を受けられるでしょう。ただし、これらの制度は公募時期や対象要件、補助率、上限額が年度ごとに変更される点に注意が必要です。
そのため、過去の情報をそのまま参考にすると、申請要件を満たせないリスクがあります。まずは、経済産業省・中小企業庁の「ミラサポplus」や「J-Net21」、各省庁・都道府県の公式サイトで最新の公募情報を確認してみましょう。
移転プロジェクトのスケジュールと公募時期が合うかどうかも含め、早めに情報収集を始めることが費用削減につながります。
事務所のリフォームは、専門業者に相談するところから始めましょう
リフォームの相談先について、104人に調査したところ「施工を依頼した内装業者・工務店」が39.4%で最多でした。
次いで「自社の経理・財務部門」が29.8%、「顧問税理士・会計士」が27.9%と続き、社内の判断だけでなく外部の専門家を頼るケースが目立ちます。
事務所のリフォームは、ひとつの相談先だけで完結させるのではなく、複数の専門家の知見を組み合わせながら進めるのが実情です。すべてを社内だけで判断しようとすると、予算超過や税務上のミス、原状回復トラブルといったリスクにつながりかねません。
だからこそ、計画の初期段階から施工実績のある専門業者に相談することが、失敗しないリフォームへの近道です。費用の見積もりだけでなく、工事区分の確認や工期中の業務継続の方法についても、経験豊富な業者であれば具体的なアドバイスをもらえます。
まずは複数の業者に声をかけ、相見積もりを取るところから始めてみましょう。
この記事を書いた人
- ワクリノ編集部Column_editor
- 働き方の進化をコンセプトに、オフィス改善のコンセプト設計から、効率的な運用設計、レイアウトプランニングなど、オフィスの新しい”働きやすさ”と“生産性の向上”を創造し提案していきます。





