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オフィスの廊下デザインのポイント!幅はどうすれば良い?
オフィスの廊下は、単に通行するためのスペースというだけではなく、従業員の快適性や効率性、安全性などにも影響する場所です。
また、オフィスの廊下には守るべき法規制も存在します。
この記事では、オフィスの廊下デザインにおけるポイントと他社の事例について、年間500件以上のオフィスのお悩み解決実績を持つWAKURINO(ワクリノ)が分かりやすく解説していきます。
目次
オフィスの廊下をデザインする際に押さえるべきポイント
オフィスの廊下をデザインする際には、以下のポイントに注意してデザインを進めましょう。
- 法規制の遵守
- 移動のしやすさ
- 床材のセレクト
- 壁材のセレクト
- 照明のセレクト
- デザインアクセント
- ゾーニング
- 廊下への設置物
それぞれ詳しくみていきましょう。
法規制の遵守
オフィスの廊下デザインを考える際には、避難経路の確保などの理由から、以下の法規制を遵守しなければなりません。
- 建築基準法
- 消防法
- 労働安全衛生法
こうした法規制を守ることで、安全で快適な職場環境を維持することができます。
具体的に各法令についてくわしく見ていきましょう。
建築基準法
建築基準法の第119条では、廊下の幅について以下のように規定されています。
- 常用の廊下
- 建物の規模や用途に応じて、常用の廊下には最低限の幅が必要。たとえば、一般的な事務所ビルでは、常用の廊下は原則として1.2メートル以上の幅が必要
- 避難経路
- 火災時などの避難経路として使用される廊下の幅には、さらに厳しい規定がある。避難経路として廊下を使う場合は、幅がより広く設定される。具体的な幅は、建物の階数や収容人数によって異なるため、詳細な数値は設計時の確認が必要
廊下は普段の移動だけではなく、もしもの際の避難経路としての役割も果たすため、規定に従って幅を設計する必要があります。
建物の用途や収容人数に応じて、適切な幅の確保をしましょう。
消防法
消防法第8条2の4では、避難経路について次のように細かく定められています。
- 避難経路の確保
- 避難経路は、災害発生時に人々が安全に避難できるように確保する必要があります。常に避難するための経路を整備し、確実に機能させておかなければなりません。
- 避難経路の幅
- 避難経路の幅については、避難する人数に応じて適切な幅を確保することが必要です。一般的に、通常の通路は0.9メートル以上、より多くの人が通行する場合は1.2メートル以上の幅が推奨されます。
- 避難経路の表示
- 避難経路には、明確な表示を行うことが求められます。避難者が簡単に認識できるように、適切な標識や光る表示板などが設置されなければなりません。
- 避難経路の障害物
- 避難経路には、通行を妨げるような障害物を置いてはいけません。移動をスムーズにするために、障害物を撤去し、経路を確保する必要があります。
- 避難階段の設置
- 高層オフィスビルでは、避難階段の設置が求められます。階段の幅については、通常1.2メートル以上が必要とされることが多く、適切な設置位置も規定されています。
労働安全衛生法
労働安全衛生規則第542条、543条では、廊下の幅について以下のように規定されています。
第542条 | ・廊下の幅:労働者が通行する廊下や通路は、少なくとも1人が通行できる幅の確保が必要。複数人が同時に通行する場合には、さらに広い幅が必要 ・避難経路の確保:火災などの緊急時にスムーズに避難できるよう、廊下や通路の幅が十分でなければならない ・障害物の排除:廊下に障害物を置いてはならない。常に通行が可能な状態を維持する必要がある |
第543条 | ・廊下の幅と人数: 労働者が廊下を通行する人数に応じて、廊下の幅を確保する必要がある。具体的には、1人以上が通行できる幅が必要とされるほか、一定人数以上の労働者が同時に通行する場合には、さらに広い幅が必要 ・定期的な点検: 廊下の幅が規定通りであるか、また障害物がないかを定期的に点検し、必要に応じて修正する義務がある ・安全基準の遵守:労働安全衛生基準に従い、適切な幅を確保することが義務付けられる |
移動のしやすさ
法律で定められた廊下の幅を確保するだけでは不十分です。
実際の廊下の使用状況を加味し、従業員が移動しやすくなるように以下の点について検討しましょう。
すれ違いのスペース | 大人2人がすれ違える幅を確保することで、通行時のストレスを軽減。通常、幅1.5メートル以上を推奨し、混雑するエリアではさらに広めに設定することが望ましい。 |
移動の集中具合 | 多くの従業員が利用する通路や主要なアクセスエリアは、幅を広く設定し、スムーズな移動を確保。会議室やトイレの近くなど、移動が集中しやすいエリアでは、幅を広めに設計することが効果的。 |
通行の流れ | 通行の流れを考慮し、通路の配置や角度を工夫することで、混雑やぶつかり合いを防ぐ。通路を曲がりくねらせず、直線的に配置し、スムーズな移動を実現させる |
通行の安全性 | 廊下は日常的に多くの人が通行する場所。通行の安全性を確保するためには、適切な幅を保ち、滑りにくい床材を選定することが重要。障害物がないように配慮し、通行の妨げとなるものを設置しないこと。視覚的なガイドラインや案内表示を設置することで、迷子や混乱を防ぐことも考慮。 |
床材のセレクト
廊下の床材は、従業員によって踏まれ続けます。
そのため、耐久性やメンテナンスのしやすさなども考慮して選ぶことが重要です。
具体的には、以下のポイントを参考に、適切な床材を選びましょう。
耐摩耗性
廊下は日常的に多くの従業員が通行するため、床材には耐摩耗性が高いものを選ぶことが重要です。
たとえば、タイルやビニールシートなどがおすすめです。
耐摩耗性の高い床材を選ぶことで、長期間にわたり廊下の美しさを保つことができます。
メンテナンス性
メンテナンスが容易であることも重要です。
掃除がしやすい素材や、汚れがつきにくい素材を選ぶことで、維持管理が簡単になります。
定期的な清掃や手入れを行う頻度が低くて良ければ、それだけコスト削減にもつながってくるのです。
天然素材など、メンテナンスに手間も費用もかかってしまうような素材を廊下の床材として使いたい場合は、コストへの影響なども考えた上で検討していきましょう。
デザイン性
廊下の床は従業員の視界に入る面積が大きいため、オフィスのデザインにも影響します。
オフィスのデザインコンセプトに合わせたものを選びましょう。
ブランドカラーに合わせた床材や、コンセプトに沿ったデザインのものを選ぶことで、オフィス全体に統一感を持たせることができます。
壁材のセレクト
廊下の壁材の選定も重要です。
具体的には次のポイントを考慮して、適切な壁材を選びましょう。
耐久性
壁材は耐久性が高く、傷や汚れに強いものを選びましょう。
ビニールクロスや塗装などの耐久性のある素材を使用することで、長期間に渡り美しさを保つことができます。
頻繁に従業員の手が触れる部分には、特に耐久性の高い素材を選ぶなどの調整も必要です。
メンテナンス性
廊下の床と同様に壁も汚れやすい場所です。
掃除や、補修などのメンテナンスが簡単なものを選びましょう。
汚れがつきにくく、汚れを落としやすい素材を選ぶことで、常に清潔な状態を維持しやすくなるだけでなく、掃除や補修などのメンテナンスの手間や費用の削減にもつながります。
デザイン性
従業員の視界に入る面積が床と同様に大きいため、オフィスのデザインに合わせて選ぶことが重要です。
たとえば、企業のブランドカラーやテーマに合わせたデザインの壁材を選んだり、デザインアクセントとして活用するなどが考えられます。
照明のセレクト
照明も、廊下の安全性と雰囲気に影響を与える重要な要素です。
具体的には以下のポイントに注意して、適切な照明を選ぶようにしましょう。
明るさの確保
廊下の明るさは安全性に直結します。
適切な明るさを確保するために、
人の往来が多くあるような廊下にはLEDライトを使用するなど、照明の配置や種類を工夫しましょう。
また、暗い部分がでないように照明の配置なども検討しましょう。
廊下の照明は建物自体の設備であり、物件によっては照明の種類は変えられても、配置は変えることが許されていない場合があるので、物件オーナーへの事前確認も重要です。
調光機能
調光機能を活用することで、時間帯や利用状況に応じて明るさを調整することができ、電気代の節約にもつながります。
照明デザイン
照明のデザインも、オフィスのデザインコンセプトに沿ったものを選びましょう。
デザイン性の高い照明を使用すれば、デザインアクセントとして活用することが可能です。
たとえば、LEDストリップライトを使用して廊下の縁を照らせば、モダンでスタイリッシュな印象を与えることができます。
また、吊り下げ式のデザイン照明を配置すれば、空間に高さと奥行きを持たせることができます。
デザインアクセント
廊下にデザインアクセントを加えることで、オフィス全体の印象を引き立てることができます。
具体的に廊下にデザインアクセントを取り入れる際には、以下のポイントに注意しましょう。
アートや装飾の導入
廊下の壁にアートや装飾品を飾るなども、デザインアクセントとして有効です。
たとえば、企業や組織の理念や基本的な価値観などを象徴するようなアートや装飾品を飾ったり、壁に描くことで、訪問者や従業員に対して企業の価値観を強調することができます。
つまりブランディングに活用することができます。
地域のアーティストによる作品を展示したり、地元の文化を取り入れたデザインなどもデザインアクセントとして効果的です。
カラーアクセント
壁や床にアクセントカラーを使用することもデザインアクセントとして有効です。
モノトーンのオフィスに鮮やかな色をポイントとして取り入れるだけで、落ち着いた印象をより引き立てる効果が期待できます。
また、単純に目立つため、自社らしさや独自性などのある空間を演出できます。
ブランディングや色彩心理学などの観点から、適切なカラーをデザインアクセントとして活用することが重要です。
ゾーニングの工夫
ゾーニングは廊下内での移動を効率的に行うための重要な要素です。
具体的には以下のポイントに注意してゾーニングを検討しましょう。
色分け
通路と他のエリアを明確に区別するために、異なる色やパターンを使用することで、利用者にとってわかりやすい動線となります。
また、同時に通路以外のスペースの壁や床の色分けを行えば、視覚的に今自分がどのエリアに向かっているのかが分かりやすくなり、無駄のない効率的な移動が可能になります。
視覚的なガイドライン
廊下に視覚的なガイドラインを設置することで、廊下内での従業員の移動をよりスムーズに行うことができます。
たとえば、床にラインや矢印を施すなどです。
引用元:37.4㎡の会議室を【社員の"クリエイティブな発想"を惹きだすMTGルーム】に!
これにより、通行ルートを明確に示すことができます。
案内表示やマークを設置するなども、利用者が迷子になることを防ぐ上で有効です。
小さい規模感のオフィスであればこういったガイドラインがなくても問題ありませんが、規模の大きなオフィスの場合にはラインや矢印、マークなどを入れられないか検討してみましょう。
廊下への設置物
廊下に観葉植物やアートなど、何かを配置する際には、安全性と実用性を考慮することが重要です。
思わぬ法令違反につながってしまう可能性もあるので、廊下への設置物については、以下のポイントに注意しましょう。
安全性の確保
廊下に通行の妨げになるようなものが置いてあると、避難経路を確保するために法的な指導が入る場合があります。
特に、消防法や労働安全衛生法では、避難経路の確保が厳しく求められています。
そのため、廊下に置く設置物は、常に通行の妨げにならないように配置する必要があります。
機能性の重視
安全性が確保できた上で、廊下に案内板やサインボードを設置することで、訪問者や従業員が迷わずに目的地にたどり着けるようにすることができます。
壁面収納などを導入すれば、書類や備品を整理整頓し、廊下に何か設置することなく収納スペースとして活用することもできるでしょう。
このように廊下もオフィスの一部として活用できないか機能性を検討してみましょう。
デザイン性の維持
設置物は、廊下のデザイン性も考慮して選びましょう。
観葉植物を配置すれば、自然の要素を取り入れ、リラックスした雰囲気を作り出すことができます。
廊下の壁にデザイン性の高い掲示板やディスプレイパネルを設置すれば、情報提供とデザインアクセントの両立を図ることもできます。
適切な配置
廊下の幅や従業員の移動を考慮して、設置物の配置を計画することが重要です。
設置物が多すぎると通行の妨げになるため、必要最低限のものに絞り、適切な間隔を保って配置するようにしましょう。
設置物が視界を遮らないようにすることも重要です。
視界が遮られると狭くて窮屈な印象を従業員に与えてしまいます。
オフィスの廊下のデザイン事例
オフィスの廊下は単なる移動の空間にとどまらず、企業のイメージやブランドを表現する重要な場所です。
廊下のデザインは、機能性や美しさだけでなく、従業員の安全性や業務の効率性にも影響を与えます。
実際に企業がこれらをどのように考慮し、廊下をデザインしているのか、またその結果どのような効果を得ているかなど、具体的な事例をいくつかご紹介します。
事例1:適切なゾーニングが施された廊下
株式会社イデックスオートジャパン様は、廊下の床材のデザインを変えることにより、ゾーニングを適切に行っているのが特徴です。
上記エントランスはタイル状の明るい色の床材が使われていますが、そこから続く廊下は青い床材に切り替わっています。
また、ワークスペース内の通路も他と床材のデザインを変えることで、動線を明確で分かりやすく工夫しています。
この場所はオフィスの中心であり、人の往来が多くあります。
ゾーニングを工夫することにより従業員の移動する幅をこちらが明確に指定し、効率的な移動だけではなく、安全な移動にもつながります。
事例2:エントランスの印象と調和する廊下
株式会社三福様のオフィスでは、エントランスのデザインをナチュラルテイストに統一し、立体感のあるタイル張りを採用しています。
廊下もエントランスと調和するよう、既設のタイルカーペットと色味が合う壁紙とタイルで施工。
左右の壁はボードにクロスを貼り、凸凹が出ないよう工夫されています。
また、エントランスにはダウンライトを追加し、落ち着いた印象を加えています。
事例3:廊下の終わりを知らせるゾーニング
株式会社アドファクトリーハーツ様では、廊下の終わりを明確に知らせるゾーニングが施されています。
このように段差などがなくても廊下とワークスペースの床材を変更するだけで、視覚的に「ここから先は何か違うスペースなんだな」と判断することができます。
もし業務スペースが土足厳禁などであれば、この境目の部分に玄関マットを敷いたりするとより効果的です。
オフィスの廊下のデザインは意外と重要
オフィスの廊下は、通行の利便性や安全性だけでなく、企業のブランドイメージや従業員の快適さにも大きく影響する重要な場所です。
今回ご紹介したポイントや事例などを参考に、法規制も遵守しつつ、通行のしやすさやデザイン性を兼ね備えた廊下を検討してみてください。
もし、廊下のデザインなどに迷った場合には、「WAKURINO(ワクリノ)」までお気軽にご相談ください。
ご要望をヒアリングさせていただいた上で、最適な廊下のデザインをご提案いたします。
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この記事を書いた人
- ワクリノ編集部スタッフ
- 働き方の進化をコンセプトに、オフィス改善のコンセプト設計から、効率的な運用設計、レイアウトプランニングなど、オフィスの新しい”働きやすさ”と“生産性の向上”を創造し提案していきます。