ワクリノ特集
【事例紹介】オフィスの天井をデザインする際に意識すべきポイント!
天井は、オフィスの中でも視界に入りやすく、壁や床と同様にオフィスデザインに影響が大きい箇所です。
天井のデザインを工夫すれば抜け感によりオフィスが広く見えたり、空間の雰囲気が大きく変わります。
この記事では、そんなオフィスの天井のデザインのポイントや具体的な事例について、年間500件以上のオフィスのお悩み解決実績を持つWAKURINO(ワクリノ)が、分かりやすく解説していきます。
目次
オフィスの雰囲気は天井でガラリと変わる
天井はオフィス内で視界に入る面積が広く、デザイン次第でオフィスの印象が変わります。
たとえば、次のような要素を少し変えるだけでも、オフィスの広さや明るさの印象は大きく変わってきます。
- 色彩:明るい色は空間を広く感じさせ、暗い色は落ち着いた雰囲気になる
- 素材:木材、メタル、石膏ボードなど、素材によって与える印象が異なる
- 照明:配置や照明の種類によって明るさや印象が異なる
- 高さ:高い天井は開放感を、低い天井は親近感を演出できる
実際の天井のデザインの事例やデザインのポイントを押さえながら、慎重に検討を進めていくことが重要です。
オフィスの天井のデザイン事例
オフィスの天井について、実際に企業がどのような意図でデザインしているのか、具体的な事例をいくつかご紹介します。
事例1:床デザインと合わせた天井
日本プライ株式会社様のオフィスでは、ガラスのパーティションを活用して開放感を演出。
視線が自然と奥に誘導されることで、空間に広がりを感じさせるようなオフィスデザインとなっています。
天井も、オフィスデザインに沿った形で設計されています。
具体的には吊り下げ式の照明を使って立体感を出したり、床デザインと合わせることで奥行きがあることを強調しています。
事例2:スケルトン天井を採用したおしゃれなオフィス
有限会社アドファクトリーハーツ様のオフィスでは、スケルトン天井を採用し、天井が高く感じられる開放的な雰囲気を演出。
また、あえて天井材を貼らずにスケルトン天井にすることで、おしゃれな撮影スタジオのようなクリエイティビティ溢れる空間にすることができています。
事例3:天井塗装によるゾーニング
サンヨウ株式会社様のオフィスでは、天井塗装を活用してゾーニングを行なってるのが特徴的です。
引用元:見通しのよいスマートオフィス(天井塗装で空間間仕切り)_導入事例
ゾーニングは床で行うイメージが強いですが、従業員の視界に入りやすいことから天井で行うのもおすすめです。
オフィスの天井をデザインする際に意識すべきポイント
オフィスの天井のデザインを考える際には、次のようなポイントを意識しましょう。
- オフィス全体のデザインコンセプト
- 天井の種類
- 天井の高さ
- 照明・空調設備との組み合わせ
- ゾーニング
- 色
それぞれ詳しく解説していきます。
オフィス全体のデザインコンセプト
天井はオフィスの中でも床や壁と同様に視界に入りやすい部分であり、狭さや圧迫感の原因などにもなりやすい箇所です。
そのため、オフィス全体のコンセプトに沿ったデザインを心がける必要があります。
なぜなら、コンセプトに沿わないデザインを天井に施してしまうと、一貫性がなくなり、視界の中で天井に視線が向いてしまいやすくなります。
結果的に狭さや圧迫感が出てしまいやすくなってしまうのです。
オフィス全体のデザインコンセプトの整合性を見ながら、変に目立ってしまわないように注意しましょう。
天井の種類
天井には様々な種類があり、それぞれに次のようなメリットとデメリットがあります。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
スケルトン天井 | 開放感がありモダンに見え、空間が広く感じられ、メンテナンスがしやすい。 | 音の反響が大きく、工事コストが高く、空調効率が悪い。 |
在来工法天井 | 材料費が安く、遮音性と防火性が高い。デザインの選択肢が広い。 | 照明やエアコンの移設が難しく、レイアウト変更がしにくい。 |
ライン天井 | スタイリッシュで、照明効果を最大限に活用できる。 | 設置費用が高く、照明器具の向きを変えるのが難しい。 |
グリッド天井 | メンテナンスがしやすく、レイアウト変更が自由。地震時に落下しにくい。 | 吸音性が低く、間仕切りの設置に制約がある。 |
システム天井 | 簡単に設置でき、メンテナンスが容易。配線や配管を隠せる。 | カスタマイズ性が低く、デザインの自由度が低い。 |
また、それぞれの天井がどのようなオフィスに適しているのか、特徴や性質を理解した上で最適なものを選びましょう。
スケルトン天井
スケルトン天井とは、建物自体の配管や電気設備がむき出しになったデザインの天井のことです。
天井材を貼らない分、天井を高くすることができます。
ガレージや倉庫のような開放感、撮影スタジオ、カフェのようなおしゃれな雰囲気を作り出せるのが特徴です。
また、建物の設備が剥き出しになっているため、設備のメンテナンスがしやすいのも特徴の1つです。
ただし、天井材がない分、音の反響が大きくなるため、吸音パネルやカーペットを使った音響対策が必要になります。
天井が高い分空調効率も高く、工事コストが高くなりやすいなどのデメリットもあるので、「デザイン性や開放感を重視するのか、快適性や低コストを重視するのか?」はしっかりと検討しておきましょう。
在来工法天井
在来工法天井とは、全国のオフィスで最も使われている天井です。
石膏ボードなどを天井の骨組みに張る一般的な工法で、材料費が安く、遮音性が高く、防火性にも優れています。
デザインの選択肢も広く、石膏ボードにクロスや塗装を施すことで、高級感の演出も可能です。
一方で、照明やエアコンの移設が難しく、レイアウト変更がしにくい点や、水回りには向かない点などがデメリットと言えるでしょう。
ライン天井
ライン天井とは、天井の仕上げ材と照明器具、スピーカーなどの天井設備が一体化した天井のことです。
ライン型システム天井とも呼ばれます。
照明がライン状に配置され、机上の照度を均一に保つことができるのが特徴です。
さまざまなレイアウト変更に柔軟に対応できる点も魅力の1つと言えるでしょう。
ただし、照明器具の向きを変えるのが難しく、大地震の際にパネルが落下するリスクがあります。
また、設置費用が高いのもデメリットと言えるでしょう。
グリッド天井
グリッド天井は、格子状の下地にパネルをはめ込むタイプの天井です。
グリッド型システム天井とも呼ばれます。
パネルや照明を部分的に交換できるため、メンテナンスがしやすく、レイアウトの自由度が高いことや、デザインが規則的で美しいことなどが特徴です。
また、地震の際にライン型システム天井などよりもパネルが落下しにくい点もメリットと言えますが、吸音性が低く、パーティションの設置などに制約条件があるのがデメリットです。
システム天井
システム天井は、あらかじめ決まったサイズのパネルを使って組み立てるタイプの天井です。
設置が比較的簡単で、メンテナンスがしやすいことや、天井パネルの裏側に配線や配管を隠せるスペースがあるため、オフィスの見た目や美観をきれいに保ちやすいことなどが特徴です。
一方で、デザインの自由度が低く、自分好みのカスタマイズを行うことが難しい点がデメリットと言えます。
天井の高さ
天井の高さは、オフィスの快適性に大きく影響を及ぼす箇所です。
天井が低いと圧迫感があり、オフィスが狭く感じやすくなってしまいます。
建築基準法では天井の高さは2.1m以上必要と規定されていますが、一般的なオフィスの天井高は2.5〜2.8mとなっており、近年では3mを超えるオフィスも増えてきています。
従業員が狭さや圧迫感を感じることなくリラックスして働ける環境を作り出すためにも、天井の高さの確保は重要な検討ポイントの一つと言えるでしょう。
しかし、賃貸物件などの場合、天井の高さはそう簡単に変えられるものではありません。
そのため、天井の高さに制約がある場合には、スケルトン天井で最大限高さを出したり、次のような方法で天井を高く見せる工夫も必要です。
- 天井に白のような膨張色を使う
- 壁紙と天井の色を合わせて境目を無くし、空間を広く見せる
- 吊り下げ照明などを活用し立体感を出す
OAフロアの場合は床の高さがあるので注意
OAフロアとは、LANケーブルや電源配線を床下に収納するための二重床のことです。
OA(オフィスオートメーション)フロアを検討されている場合は、床が30〜100mmほど高くなるため、上がった床の高さを考慮する必要があります。
床の高さが上がることで、天井の高さに影響が出るため、OAフロアを導入する際には、床と天井の高さのバランスを考慮し、圧迫感がでないようなデザインにすることが重要です。
照明・空調設備との組み合わせ
天井には照明や空調設備が設置されています。
こうした設備との組み合わせも、デザインを左右する重要なポイントです。
照明の配置や種類、空調設備の位置などを考慮して、天井のデザインを行いましょう。
照明や空調はオフィスの快適性に直結するため、「天井のデザインを重視しすぎて空調が効きづらくなってしまったり、オフィスが暗い印象になってしまった」ということがないように十分に注意が必要です。
また、既存の照明や空調設備では難しい場合には、物件オーナーなどに相談して設備ごと変える工事をしなければなりません。
ゾーニング
天井の色や材質を変えることで、エリアを視覚的に分割することが可能です。
床で行うことが多いのですが、天井も視界に入りやすい箇所のため、ゾーニングには適しています。
たとえば、ワークスペースやリラックススペースの天井の色を分けたり、使う天井材のデザインを変えたりすることで簡単にゾーニングが可能です。
また、天井材によっては音の反響の仕方が違ったりします。
ミーティングスペースのようなクローズドな場所では遮音性の高い天井材をあえて使ったり、スペースごとに適切な音響環境にするなども可能です。
色
天井の色も、オフィスの印象を大きく左右します。
天井を高く見せるためには、色彩心理学において「圧迫感のある色」とされている黒や濃い色は避け、白などの明るい色を選ぶことがポイントです。
また、壁や床の色との相性も考慮する必要があります。
ベースカラー、メインカラー、アクセントカラーという概念を活用し、壁や床、天井の色をバランスよく組み合わせる方法を考えましょう。
ベースカラー
ベースカラーはオフィス空間の基礎となる色で、床や天井、壁の大部分(約70%)に使います。
白や淡いグレーなどの明るい色を選ぶと、空間が広く感じられ、清潔感のある印象になるのでおすすめです。
メインカラー・アクセントカラー
メインカラーは空間の約25%に使う色で、主に建具や家具に使う色です。
たとえば次のオフィスデザインにおいては、メインカラーが黒、そしてアクセントカラーが濃い茶色になっています。
白や明るい色がベースカラーのオフィスでは、濃い目の色をメインカラー、アクセントカラーとして入れると空間にメリハリが生まれ、バランスがよくなりやすくなります。
コーポレートカラーなどをメインカラーやアクセントカラーとして使うのがおすすめです。
オフィスの天井をデザインする前にチェックしておくべき項目
オフィスの天井は法規制の対象になっていたり、建物自体の設備にも影響する箇所なので、デザインの前には必ず次の項目のチェックもしておきましょう。
- 物件オーナーへの確認
- 内装制限の遵守
それぞれどのような点に注意すべきかを具体的に見ていきましょう。
物件オーナーへの確認
物件によっては、特定の施工が禁止されている場合があります。
そのため、物件オーナーや管理会社に事前に確認を行い、許可を得ておきましょう。
施工後に問題が発生しないように、事前に詳細な計画を立て、オーナーや管理会社と充分にコミュニケーションを取ることが大切です。
特に、歴史的建造物や特殊な用途の建物では、規制が厳しいことが多いので注意しましょう。
内装制限の遵守
内装制限は火災時の安全性を確保するために設けられている規制で、建築基準法や消防法によって定められています。
主に建物の天井や壁に使用する材料などを規制しており、オフィスの天井のデザインを考える際には、内装制限を遵守しなければなりません。
不特定多数の人が利用する特殊建築物や大規模な建築物、火気を使用する部屋、窓のない居室などが規制の対象なので、すべてのオフィスに当てはまる訳ではありませんが、対象に該当する場合には十分に注意しましょう。
詳しくは「オフィスの内装制限とは?内容や条件、内装工事時の注意点などを解説 」でも解説しているので、合わせてご覧ください。
天井のデザインを工夫すればオフィスはより快適になる!
この記事では、オフィスの天井のデザインにおいて意識すべきポイントや事例、注意点などを紹介しました。
天井のデザインはオフィス全体の雰囲気に大きく影響を及ぼす箇所なので、床や壁と同様に慎重に検討を重ねていきましょう。
もし天井のデザインに悩んだら、「WAKURINO(ワクリノ)」までお気軽にご相談ください。
ご要望に沿った最適なご提案をさせていただきます。
「オフィスの内装制限とは?内容や条件、内装工事時の注意点などを解説」の記事に内部リンク
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この記事を書いた人
- ワクリノ編集部スタッフ
- 働き方の進化をコンセプトに、オフィス改善のコンセプト設計から、効率的な運用設計、レイアウトプランニングなど、オフィスの新しい”働きやすさ”と“生産性の向上”を創造し提案していきます。