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オフィスの広さ・1人あたりの適正目安は?人数別シミュレーションと失敗しない計算方法
オフィスの移転やリノベーションを任された際、最初に直面する大きな壁が「適正な広さの算出」です。
「今のオフィスは狭い気がするけれど、どれくらい広げればいいのか?」「無駄に広い物件を借りてコストを浪費したくない」など、総務・人事担当者の悩みは尽きません。
オフィスの広さは、賃料という固定費に直結するだけでなく、従業員の働きやすさやモチベーションをも左右する重要な要素です。
本記事では、一般的に言われる「1人あたりの目安」の根拠から、人数別のシミュレーション、そして最新の働き方に合わせた面積の最適化手法まで解説します。
目次
オフィスの適正な広さは「1人あたり3~4坪」が目安
オフィス物件を探し始める際、不動産業者や内装業者からまず提示される基準が「1人あたり3〜4坪」という数値です。
まずは基本となる計算のロジックと、数字の裏にある注意点を解説します。
なぜ「3〜4坪(約10〜13㎡)」と言われるのか?
一般的に「1人あたり3〜4坪(約10〜13㎡)」が必要と言われる理由は、この数値が執務室や会議室、リフレッシュスペースなどオフィスに必要なスペースを合計して人数で割った平均値であるためです。
労働安全衛生規則では「気積(空間の体積)として1人あたり10㎥以上(天井高2.5mなら4㎡=約1.2坪)」が最低基準とされていますが、これはあくまで法的な最低ラインに過ぎません。
多くのオフィス家具メーカーや設計会社が推奨する「快適に働ける水準」として、ゆとりを持たせた3〜4坪が業界標準となっています。
ただし、これはあくまで「平均値」であり「正解」ではありません。
例えば、接客スペースを重視する来店型のオフィスであれば広めの面積が必要ですし、エンジニアが多く大型モニターを複数使う業種と、ノートPCひとつで働く営業職中心の業種とでは、必要な広さは大きく異なります。「3坪あれば十分」なのか「4坪ないと窮屈」なのかは、自社の働き方によって変動することをまずは理解しておきましょう。
【重要】「グロス面積」と「ネット面積」の違い
物件情報を見る際には、面積の表記方法に注意が必要です。
不動産の契約面積には、大きく分けて「グロス面積」と「ネット面積」の2種類が存在します。
この表記を混同してしまうと「30坪借りたはずなのに、実際に入居してみたら思ったより狭い」という致命的なミスにつながります。
グロス面積 | 契約面積 | オフィスとして使用する専有部分に加え、トイレ、給湯室、エレベーターホール、廊下などの「共用部分」までを含んで計算された面積。 |
ネット面積 | 有効面積 | トイレや廊下などの共用部を除いた、純粋にオフィス室内として使える専有部分のみの面積。 |
「1人あたり3〜4坪」という目安は、一般的に契約面積(グロス)ベースで語られる傾向があります。
そのため、検討中の物件が有効面積のみの契約(ネット契約)である場合、数値通りの広さを借りると逆に広すぎてしまう可能性もあります。
物件資料を見る際は、必ず「表示坪数が含んでいる範囲」を不動産会社に確認しましょう。
特にトイレが室内に含まれているか、室外(共用部)にあるかは、レイアウト効率に大きく影響します。
デスクワークだけなら「1.5~2坪」でも可能
もし、会議室やリフレッシュスペースを最小限にし、純粋な執務エリアだけで考えるのであれば、1人あたりの面積はさらにコンパクトになります。
執務エリア単体でのミニマムラインは、1人あたり「1.5〜2坪(約5〜6.6㎡)」程度です。
これは、標準的なデスク(幅1,000mm〜1,200mm)を対向式(島型)に配置し、背面の通路を最低限確保した場合の広さです。コールセンターや事務処理センターのように、機能を執務に特化させる場合や、スタートアップ企業でとにかくコストを抑えたい場合は、この数値を基準にシミュレーションすることも可能です。
ただし、1.5坪を下回ると隣の人との距離が近すぎるためストレスを感じやすくなります。
また、椅子を引くスペースが確保できずに通路が塞がれがちになるため、業務効率が低下するリスクも高まるでしょう。1.5〜2坪はあくまで「最低限の目安」として捉えてください。
【人数別早見表】オフィスの必要坪数シミュレーション
「1人あたり◯坪」と聞いたとしても、実際に自社の人数規模でどのようなオフィスになるのかは、イメージしにくいものです。
ここでは、従業員数ごとの必要坪数と、その広さで実現できるレイアウトや機能の目安をシミュレーションします。
従業員数 | 必要坪数目安 | 構成イメージ | 主な課題 |
10~20名 | 30~80坪 | 執務室+会議室1室+受付 | 集中環境の確保、収納不足 |
30~50名 | 90~200坪 | 執務室+会議室複数+倉庫+休憩所 | 部署間のゾーニング、会議室不足 |
50~100名 | 150~400坪 | 上記+Web会議ブース+多様な席 | 動線設計の複雑化、空調・照明区画 |
10名~20名規模の場合(30~80坪目安)
この規模はスタートアップや小規模事業所に多いフェーズであり、オフィスに必要な機能は執務室と会議室、そして受付というシンプルな3要素が基本構成となります。必要となる広さの目安は30坪から80坪程度です。
30坪前後のコンパクトなオフィスの場合、レイアウトは全体が見渡せるオープンな執務スペースが中心となり、会議室は4名から6名用のものが1つ確保できるのが限界となることが多いでしょう。
ここから60坪以上の広さを確保できれば、会議室を2つに増やしたり、ソファ席などの簡単なリフレッシュコーナーを設けたりする余裕が生まれます。
この規模のオフィスはアットホームな距離感が魅力である反面、電話の声や雑談が執務の妨げになりやすいという課題も抱えています。
そのため、背の高いパーティションや吸音パネルを活用したゾーニングといった工夫が必要となります。
30名~50名規模の場合(90~200坪目安)

30名以上の組織は部署ごとの役割が明確になるため、90坪から200坪程度の広さが求められます。
特に会議室不足が深刻な悩みになりやすいため、来客用のきれいな応接室と社内ミーティング用の実用的な会議室を分けるなど、会議室の数と種類の確保が重要です。
営業部や総務部、開発部といった業務内容に合わせた島ごとのゾーニングが必要になるのがこの規模の特徴です。
また、男女別トイレの確保や給湯室の充実、倉庫やサーバー室といったバックヤード機能もこの規模から重要度が増してきます。
人が増えることで動線が複雑になるため、メイン通路とサブ通路を明確に分ける設計が求められます。
さらに、部署を超えたコミュニケーションを促すリフレッシュスペースの設置や、観葉植物を置いて無機質な空間にならないような工夫も効果的です。
50名~100名規模の場合(150~400坪目安)

企業としてのブランディングや多様な働き方への対応が求められるこの規模では、150坪から400坪程度の広さが必要となります。
この広さがあれば、単にデスクを並べるだけでなく、生産性を高めるための様々な機能を取り入れることが可能です。
執務エリアに加えてWeb会議専用の個室ブースや簡単な打ち合わせができるファミレス席、集中作業用のカウンター席など、目的に応じて場所を選べるABW的な要素を導入できます。
エントランスも企業の顔としてデザイン性を高め、待合スペースを広く取りやすくなるでしょう。
ただし、広くなる分だけスペースの無駄遣いが発生しやすくなる点には注意が必要です。
広いオフィスでは誰がどこにいるかわからないという問題や、端と端の席でコミュニケーションが希薄になるといった課題も出てきます。
動線設計が非常に複雑になるため、自社でレイアウトを決めるのは困難であり、専門家の知見を借りた効率的な動線とゾーニングが必須となります。
エリア別に見る広さの目安
オフィス全体の坪数だけでなく、会議室や通路といった「パーツごとの適正サイズ」を知っておくと、より具体的なレイアウト検討が可能になります。ここでは内装業者の視点から、快適性と法規を満たす各エリアの寸法目安をご紹介します。
会議室・応接室のサイズ目安
会議室は「テーブルと椅子が入ればいい」わけではありません。
椅子を引くスペースや、プロジェクター投影時の視認距離、背後を通る動線などを考慮する必要があります。
4名用(約3~4坪)
コンパクトなミーティングルームです。1,500mm幅程度のテーブルを使用します。最低でも3坪あれば、圧迫感なく4名が着席できます。
6名用(約4~6坪)

汎用性が高いサイズであり、1,800〜2,100mm幅のテーブルを使用できます。
来客用としても使う場合は、少しゆとりを持たせて5坪以上確保すると、上座・下座のマナーを守った配置がしやすくなります。
8名用(約6~8坪)
部署会議や役員会議などに使われます。2,400mm以上の大型テーブルが必要です。
部屋の長辺方向に余裕がないと、モニターが見えにくい席ができてしまうため、長方形の空間確保が望ましいでしょう。
12名用(8~12坪)

研修・説明会・社内勉強会・プレゼンなどの用途に向いています。
同方向型の会議室だと、前方にモニターやスクリーンを設置して、参加者全員が同じ資料を見ながら話を聞けるため、説明や情報共有がスムーズに進みます
快適なオフィス環境を作る「通路幅」の基準
通路幅は、業務効率と安全性(避難経路)の両面から非常に重要です。
狭すぎる通路は、すれ違いのたびに立ち止まるストレスを生み、万が一の災害時には逃げ遅れる原因にもなります。
メイン通路(1.2m~1.6m)
オフィスの主要な動線となる通路です。
1.2mあれば、大人が余裕を持ってすれ違うことができます。
1.6mあれば、車椅子の方でも方向転換が可能です。
建築基準法や消防法でも、廊下の幅については規定(両側に居室がある場合は1.6m以上など)があるため、これを下回らないよう注意が必要です。
デスク間の通路(0.9m~1.2m)
背中合わせの席の間や、デスク横の通路です。
最低90cmあれば1人が通行できますが、背後の人が椅子を引いて座っている状態だと、通るのが難しくなります。
頻繁に通る場所なら1.2m、あまり通らない場所なら0.9mといった使い分けがポイントです。
Web会議ブース・リフレッシュエリア
近年、多くの企業が注目しているのが、Web会議用のスペースやリフレッシュエリアです。
多様な働き方に対応するこれらのスペースは、従業員の生産性向上に寄与します。
1人用Web会議ブース(0.5坪~)
電話ボックス型の個室ブースや、パーティションで囲った半個室席です。
0.5坪(約1.6㎡)程度のデッドスペースがあれば設置可能です。
窓際や柱の陰など、デスクを置くには中途半端な場所を有効活用できます。
リフレッシュエリア
50坪のオフィスなら2.5〜5坪程度など、オフィスの広さの5〜10%程度を割くのが理想的です。
カフェテーブルを置くだけでなく、あえて何も置かない「余白」を作ることで、空間全体を広く見せる効果もあります。
必要面積を最適化するレイアウトの工夫
「理想の広さを確保しようとすると予算オーバーになる」「今のオフィスのまま人数を増やしたい」そんな時に役立つのが、レイアウトや運用ルールによる面積の最適化(圧縮)です。
物理的な面積を広げなくても、工夫次第で快適な空間は作れます。
フリーアドレス導入で、「座席」スペースの有効活用
近年多くの企業で導入されている「フリーアドレス」は、オフィス面積の削減に最も効果的です。
ポイントは「最大出社人数に合わせて席数を用意する」という点です。
例えば、営業職やテレワークを行う従業員が多く、平均出社率が70%程度の会社であれば、座席数は全従業員の80%程度に設定しても業務は回ります。
50名の会社で全員が出社するなら50席必要ですが、出社率80%なら40席で済みます。
削減できた10席分のスペース(約15~20坪相当)を、会議室やリフレッシュスペースに転換、あるいはもっと狭い(賃料の安い)物件への移転を検討するなど、オフィスレイアウトの選択肢が大きく広がります。
デスク配置を変える
デスクの配置にはいくつかの型があり、それぞれ必要な面積が異なります。
対向式(島型)は、デスクを向かい合わせにする最も一般的なデスク配置です。
配線が集約しやすく、通路面積も最小限で済むため、最も省スペースで多くの人数を収容できます。
背面式は、隣の席と背中合わせになるようなデスク配置です。
個人のプライバシーを確保しやすい一方、島型に比べて必要スペースが広くなる傾向があります。
ブース型は、パネルで囲まれた個席タイプのレイアウトです。
クリエイティブ職やエンジニアに人気ですが、チームでのコミュニケーションが取りにくくなる点には注意が必要です。
自社に求められるコミュニケーションや業務内容に応じたデスク配置を選べば、広さあたりのコミュニケーションの質を最大限に高められるでしょう。
デスク配置のパターンに興味がある方はこちらもご覧ください。
初めての事務所レイアウト|基本パターンから法律、トレンドまでプロが徹底解説
ペーパーレス化で収納スペース削減
見落としがちなのが「収納家具(キャビネット)」が占める面積です。
一般的な3段ラテラル書庫(幅900mm×奥行450mm)を置くには、本体のサイズだけでなく、引き出しを開けるための手前スペース(約800mm)が必要です。
つまり、書庫を1つ置くために約1.2㎡(0.3坪強)のスペースが要求されます。
ペーパーレス化を進めて書庫を5台減らせれば、それだけで1人分の執務スペースに相当する1.5〜2坪近いスペースが生まれます。
物件選び時に確認すべき「広さ」の注意点
数字上の坪数だけを見てしまうと、物件契約後に後悔しやすいポイントがあります。
現地内覧時には、体感的な広さと実際の使い勝手を確認しましょう。
部屋の形状と柱の位置
同じ50坪の物件でも、標準的な「正方形」「長方形」と「L字型」「三角形」などの変形では、レイアウトの効率が全く異なります。
最も効率が良いのは、柱が室内にない、長方形に近い整形な空間です。
反対に、室内に太い柱が何本もある物件や、極端に細長い物件は、デッドスペース(使い道のない隙間)が生まれやすくなります。
「50坪借りたのに、柱や変形部分のせいで実質40坪分しか使えない」というケースは珍しくありません。
図面上で柱の位置を確認し、デスクが綺麗に並ぶかを事前にシミュレーションすることが重要です。
天井の高さと圧迫感
人間の広さの感覚は、床面積だけでなく「天井の高さ」に大きく影響されます。
一般的なオフィスの天井高は2.5m〜2.6m程度ですが、これが2.8m以上あると、同じ坪数でもかなり広く開放的に感じられます。
一方、天井が2.4m以下の低い物件では、どれだけ床面積が広くても圧迫感があり、狭く感じやすくなります。特に人数の多いオフィスでは圧迫感が強くなるため、快適に感じるだけの天井高があるかチェックしましょう。
将来の増員計画をどこまで見込むか
現在の従業員数にぴったりの広さのオフィスを選んでしまうと、数名の採用で手狭になり、すぐに移転やレイアウト変更が必要になってしまいます。
オフィス移転は多額の費用がかかるプロジェクトです。
少なくとも向こう3〜5年の増員計画を見込んだ広さを確保することがおすすめです。
もし今の人数に対して広すぎる場合は、将来の増員スペースを一時的にリフレッシュエリアやフリースペースに割り振り、人が増えたら執務エリアへ変更するという運用も可能です。
広さを有効活用したオフィスレイアウト事例
ここではWAKURINOが手掛けたオフィスレイアウトの施工事例をご紹介します。
事例1:株式会社ゼンリン 様

株式会社ゼンリン様は、「Flexibility & Communication」をテーマに、従業員が自由に集まり、居心地よく過ごせる空間となるオフィスレイアウトを採用しました。
フリースペースには、用途に応じてレイアウトを自由に変えられる正方形や長方形のテーブルが設置。
ミーティングやランチ、他部門との偶発的な雑談など、さまざまな形のコミュニケーションを促進します。
開放的なファミレスタイプのソファ席や、立ち作業が可能なカウンター席など、従業員の働きやすさを考慮したワーキングスペースを設け、自分らしさの追求と生産性の向上を両立しています。
事例2:イデックスオート・ジャパン 様
自動車関連事業を幅広く営む株式会社イデックスオート・ジャパン様。
「新変」「進化」「新華」の3つの”シンカ”をコンセプトに、おしゃれさを前面に出したオフィスへとリニューアルいたしました。
「狭くて働きづらい」「休憩スペースがない」「食事をする場所も少ない」「集中して働く場所がない」といった従業員からの意見を踏まえ、オフィスデザインにABWを採用。
カフェカウンターや集中ブース、バーカウンターなど、従業員が求める自由な働き方を実現するオフィスへと生まれ変わりました。
まとめ
オフィスの適正な広さは「1人あたり3〜4坪」が目安ですが、これはあくまで基本にすぎません。
単に数字合わせで決めるのではなく、「自社はどのような働き方をしたいのか」というビジョンに合わせて、最適な広さを導き出しましょう。
私たちWAKURINOは、オフィス移転やリノベーションにおいて、物件探しから内装デザイン、施工までをトータルでサポートいたします。
「今の人数でこの物件は狭すぎないか?」「もっと効率的なレイアウトはないか?」といった疑問をお持ちの担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
プロの視点で、貴社に最適なオフィスの広さとレイアウトをご提案いたします。
「ワクリノ」
お電話:050-5785-7200(受付時間9:00〜17:00)※土/日/祝以外
メール:こちらより24時間ご相談を受け付けております。
この記事を書いた人
- ワクリノ編集部スタッフ
- 働き方の進化をコンセプトに、オフィス改善のコンセプト設計から、効率的な運用設計、レイアウトプランニングなど、オフィスの新しい”働きやすさ”と“生産性の向上”を創造し提案していきます。



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