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フリーアドレスレイアウト導入の完全ガイド|失敗しない考え方と設計ポイント

2026.04.08
オフィスレイアウト

働き方の多様化やオフィススペースの見直しを背景に、多くの企業が直面する「出社率のバラつき」と「スペースの無駄」を解消する鍵が、フリーアドレスにあります。

固定席を設けないフリーアドレスは、スペース効率の向上やコミュニケーション活性化といったメリットが期待される一方、設計や運用を誤ると「落ち着いて仕事ができない」「誰がどこにいるか分からない」といった課題が生じることもあります。

本記事では、オフィスの移転・リフォームを検討している総務・人事・管理部門の担当者に向けて、フリーアドレスの基本から代表的なレイアウト、設計時の注意点、導入の進め方まで解説します。

 

フリーアドレスとは?固定席・ABWとの違いと導入判断のポイント

フリーアドレスを検討する際には、まずその仕組みや考え方を正しく理解することが重要です。
固定席やABWとの違いを整理することで、自社にとってどの働き方が適しているのかを判断しやすくなります。

 

フリーアドレスの基本

フリーアドレスとは、従業員ごとに固定された席を持たず、空いている席を自由に使う働き方のことを指します。
オフィス内の席を共有することで、スペースの効率的な活用や部署間のコミュニケーション促進が期待されます。

ただし、自由に席を選べるとはいえ、完全にルールがないわけではありません。
荷物の管理方法や座席の利用ルール、会議スペースの使い方など、一定の運用ルールを設けることで初めて快適に機能します。
ルールが整備されていないと、席取りのストレスや整理整頓の問題が発生しやすくなるため、制度と運用の両面で設計することが重要です。

 

固定席やABWとの違い

従来のオフィスでは、従業員一人ひとりに固定の席が割り当てられている「固定席」が一般的でした。
固定席は集中や備品の管理をしやすい自分専用の作業スペースを確保できる一方、席が使われていない時間帯でも占有されたままになりやすく、スペース効率が下がるという課題もあります。

フリーアドレスはこの固定席の考え方とは異なり、「席は共有するもの」という前提でオフィスを設計します。部署を越えて席を選ぶことができるため、自然なコミュニケーションが生まれやすいのが特徴です。

近年注目されている働き方として「ABW(Activity Based Working)」があります。
ABWは、業務内容に応じて働く場所を選ぶという考え方です。集中作業、打ち合わせ、雑談、リモート会議など、それぞれの活動に適した場所を用意し、その日の仕事に合わせて場所を選びます。

フリーアドレスが「席を固定しない仕組み」であるのに対し、ABWは「活動に応じて空間を選ぶ働き方」といえます。

ABWとフリーアドレスの違いについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

 

導入の考え方

オフィス設計では、フリーアドレス・固定席・ABWのどれかを選ぶというよりも、自社の働き方に合わせて適切に組み合わせることが重要です。

それぞれの特徴を整理すると、以下のような考え方になります。

方式

主な目的

向いている働き方

不向きな働き方

固定席

安定した作業環境

個人作業が多い職種

外出が多い営業など

フリーアドレス

スペース効率・交流

社内コミュニケーション重視

書類管理が多い業務

ABW

業務に合わせた空間活用

多様な働き方

席の移動が難しい業務

固定席は安定した作業環境を確保しやすく、個人作業や紙資料の取り扱いが多い業務に向いています。
フリーアドレスはスペース効率やコミュニケーション活性化に向いており、営業職や外出が多い部署と相性がよい傾向があります。
ABWは業務内容が多様で、集中・打ち合わせ・リモート会議などが混在する組織向きです。

反対に、固定席は外出が多く在席率が低い職場ではスペースが無駄になりやすく、フリーアドレスは書類や私物が多い業務では運用しづらい面があります。
ABWも、席や空間の使い分けが難しい職場では定着しにくい場合があります。

なお、フリーアドレスの導入は必ずしも全社一斉で行う必要はありません。
営業部門や企画部門など比較的取り入れやすい部署から試験的に導入し、運用ルールを整えながら対象を広げていく方法も現実的です。

 

移転・改装時に検討されやすい理由

フリーアドレスは、オフィス移転や改装のタイミングで検討されることが多いオフィス運用の一つです。

人員増減や働き方の変化によって、従来のレイアウトが合わなくなることは珍しくありません。
また、テレワークや外出が増えたことで、常に必要な席数が減っている場合もあります。

こうした状況でフリーアドレスを取り入れると、オフィススペースを効率よく使えるようになります。
そのため、移転やリニューアルの計画とあわせた検討が多くなります。

 

フリーアドレスのメリット・デメリット

フリーアドレスには、スペース効率の向上やコミュニケーションの活性化といったメリットがあります。
一方で、運用や設計を誤ると働きにくさにつながることもあります。

メリットを最大化し、「座る場所がない」「誰がどこにいるか不明」といった典型的な失敗を回避する設計術を解説します。

 

フリーアドレスの主なメリット

フリーアドレスの大きなメリットの一つは、スペース効率の向上です。
固定席の場合、席が使われていない時間があってもスペースは確保されたままになりますが、フリーアドレスでは席を共有することで無駄なスペースを減らすことができます。
特に、外出やリモートワークが多い職場では、在席率に応じた席数設計がしやすくなり、限られた床面積を有効活用できます。

また、部署を越えたコミュニケーションが生まれやすくなる点もメリットです。
普段関わりの少ないメンバーと隣の席になることで、自然な情報共有や新しいアイデアが生まれることもあります。
固定席ではどうしても席の並びが固定化しやすいため、会話や接点も偏りがちですが、フリーアドレスでは人の流動性が生まれます。

さらに、働き方の柔軟性にもつながります。
集中したい日は静かな席を選び、チームで作業する日は近くに集まり、短時間の出社なら出入りしやすい席を使うなど、その日の業務内容に応じて働く場所を選べるため、仕事の進め方に自由度が生まれます。
こうした柔軟性は、働き方が多様化している現在のオフィスにおいて大きな価値があります。

 

導入前に知っておきたいデメリット

一方で、フリーアドレスにはいくつかの課題があります。
代表的なのが、誰がどこにいるのか分かりにくくなる点です。
席が固定されていないため、メンバーを探す手間が増えたり、席取りのストレスが発生したりする場合があります。

こうした問題は、グループアドレスのように部署ごとにエリアを設けたり、座席予約システムを導入したりすることで解決できるケースが多くあります。

また、コミュニケーションが増える一方で、話し声が気になって集中しにくくなることもあります。
この場合は、集中ブースや静かなエリアを設けることで、用途に応じた環境を整えることが重要です。

さらに、荷物や書類の管理も課題になりがちです。
個人の席がないため、書類や備品をどこに置くかをあらかじめ決めておく必要があります。
ペーパーレス化やDXを進めることで、こうした問題を解消しやすくなるでしょう。

 

フリーアドレスの代表的なレイアウトと座席設計

フリーアドレスのレイアウトには、いくつかのパターンがあります。
働き方や業務内容に合わせて適切な配置を選ぶことで、コミュニケーションと集中のバランスを取ったオフィス環境を実現できます。

 

代表的なフリーアドレスレイアウト

フリーアドレスの代表的なレイアウトとして、以下の4つが挙げられます。

 

対向型レイアウト

対向型レイアウトは、テーブルを挟んで向かい合う形で席を配置するレイアウトです。
基本的なオフィスレイアウトの一つであり、コミュニケーションを取りやすい配置といえます。

チームでの打ち合わせや相談がしやすいため、コミュニケーションを重視する部署に向いています。

 

同向型レイアウト

同向型レイアウトは、すべての席が同じ方向を向く配置です。視線が交差しにくく、集中しやすい環境を作ることができます。

プログラミングや資料作成など、個人での作業が多い職種では、この配置が好まれる傾向があります。

 

背面式レイアウト

背面式レイアウトは、背中合わせに席を配置する形式です。視線が合いにくく、適度な距離感を保ちながら作業ができるのが特徴です。

スペース効率と集中環境のバランスを取りたい場合に適した配置といえます。

 

ミックス型

ミックス型レイアウトは、単一のレイアウトに統一するのではなく、複数のレイアウトを用途に応じて組み合わせる方法です。

フリーアドレス席のほかに集中ブースや打ち合わせスペース、カフェのようなリラックススペースを設けることで、「フリーアドレスだと落ち着かない」「集中できない」といった不安を空間設計で解消できるようになります。

 

完全フリーアドレスとグループアドレスの違い

フリーアドレスには、大きく分けて「完全フリーアドレス」と「グループアドレス」の2つの運用方法があります。

完全フリーアドレスは、部署に関係なく全従業員が自由に席を選ぶ運用方法です。部署を越えたコミュニケーションが生まれやすい一方、慣れるまで戸惑う従業員も少なくありません。

グループアドレスは、部署やチームごとにエリアを設け、その範囲内で自由に席を選ぶ方式です。チーム内のコミュニケーションを保ちながらフリーアドレスのメリットを取り入れることができるため、初めて導入する企業でも採用しやすい運用です

 

座席数はどう考えるべきか

フリーアドレスの座席数は、従業員の在席率をもとに設計するのが一般的です。
例えば、外出やリモートワークが多く、常にオフィスにいる人数が全体の70%程度であれば、席数をその割合に合わせて設計します。

ただし、席数を減らしすぎると「座る場所がない」という状況が発生する可能性があります。来客や会議なども考慮し、余裕を持った設計にすることが大切です。

 

レイアウト設計で失敗しやすいポイント

フリーアドレスを導入しても、設計や運用を誤ると、想定よりも使いにくいオフィスになってしまうことがあります。
ここでは、導入時によく見られる失敗例と、設計時に押さえておきたいポイントをご紹介します。

 

執務席だけを整えてしまう

フリーアドレスの設計でよくある失敗が、執務席だけを整えてしまうことです。
実際のオフィスでは、集中作業、会議、雑談などさまざまな活動が行われます。

これらの用途に対応したスペースがないと、執務席で会議をしたり、雑談が増えたりしてしまい、結果的に働きにくい環境になってしまいます。

 

収納・荷物置き場を後回しにする

個人の席がないフリーアドレスでは、荷物の管理方法が重要になります。
個人ロッカーや共有収納を設けることで、整理整頓されたオフィスを維持することができます。

 

運用を想定せずに設計してしまう

配線や清掃、見た目の整頓など、日々の運用を想定していないと、オフィスがすぐに乱れてしまいます。
フリーアドレスを成功させるためには、レイアウトだけでなく運用ルールも含めて設計することが重要です。

フリーアドレス導入時の失敗例について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

 

初めてでも失敗しにくいフリーアドレス導入の進め方

フリーアドレスの導入を成功させるためには、レイアウトだけでなく働き方や運用ルールも含めて計画的に進めることが大切です。ここでは、初めての担当者でも進めやすい基本的なステップを解説します。

 

現状の働き方・在席率を把握する

まずは現在の働き方を把握することが重要です。従業員の在席時間やピークの在席率、会議や外出の頻度などを確認します。

 

対象範囲と導入目的を整理する

フリーアドレスを導入する目的を明確にすることも重要です。
スペース効率の改善なのか、コミュニケーション活性化なのかによって設計は変わります。

 

レイアウト・運用ルール・ICTをセットで検討する

フリーアドレスはレイアウトだけでなく、運用ルールやICT環境とセットで検討する必要があります。
座席予約システムやチャットツールなどを導入することで、スムーズな運用が可能になります。

 

早い段階で専門家を交える重要性

オフィス設計は一度決めると簡単には変更できません。
レイアウトだけでなく働き方全体を考える必要があるため、早い段階で専門家に相談することで失敗を防ぐことができます。

 

フリーアドレスの施工事例

フリーアドレスは、レイアウト・運用ルール・ICT環境を一体で設計することで、その効果を発揮しやすくなります。
ここでは、実際にフリーアドレスを導入したオフィス事例をご紹介します。

 

事例1:株式会社ゼンリン様

引用元:好きなときに、好きなひとと、自分らしく、居心地よく過ごせる空間

株式会社ゼンリン様は、オフィス内にフレキシブルな使い方ができるミックス型レイアウトを取り入れ、働き方やシーンに応じて居場所を選べる空間を実現しました。

人数や用途に合わせて組み替えられるテーブルを中心に、カジュアルな対話を促すファミレスタイプのソファ席、集中作業にも適したカウンター席を配置。
好みや業務内容に応じて席を選べる多彩な構成が、コミュニケーションと生産性の両立を支えています。

 

事例2:株式会社イデックスビジネスサービス

引用元:第38回日経ニューオフィス賞 受賞 ~“人と人がつながる未来のオフィス”を体現したWAKURINO LIVE OFFICE~

株式会社イデックスビジネスサービス様は、ABW(Activity-Based Working)の考え方を取り入れたオフィスとして、業務内容や気分に応じて働く場所を選べる環境を整備しました。

バーカウンター席、集中作業ルーム、ソファ席、多角形ビッグテーブル席、カフェカウンター席など、バリエーション豊かな席を設置。
さらに、ICTツールの導入により、どこにいても円滑にコミュニケーションが取れるワーキングスペースを実現しています。
レイアウト・運用・ICT基盤を一体で整えた好例として、オフィスづくりの参考になる事例です。

豊富なICT環境と自由度の高い座席が共存するABWオフィスに興味がある方は、ぜひオフィス見学にお越しください。

 

まとめ

フリーアドレスは、単に机の配置を変えるだけの施策ではなく、働き方そのものを見直す取り組みと言えます。
固定席、フリーアドレス、ABWなどの選択肢の中から、自社に合った形を選ぶことが重要です。成功の分かれ道は、「席を自由にする」ことではなく「目的に合わせた居場所を作る」ことにあります。

また、成功のポイントはレイアウトだけでなく、運用ルールやICT環境を含めて設計することにあります。
初めてオフィスの移転やリフォームを担当する場合は、早い段階で専門家の視点を取り入れることで、より働きやすいオフィスを実現できます。

ワクリノ(WAKURINO)では、移転・リフォームの初期段階から、フリーアドレスを含めたオフィスレイアウトの設計をサポートしています。オフィスづくりについてお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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この記事を書いた人

ワクリノ編集部スタッフ
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